教えて印南さん。理屈に縛られず、自由に「感じる読書」のコツは?
読書は日常の延長にあるもの
本を読みたいけど、なにを読んだらいいかわからない人におすすめなのは、『天才たちの日課』(メイソン・カリー 著、金原瑞人 翻訳、石田文子 翻訳、フィルムアート社)。天才といわれている人たちが、日課としてどんなことをしているかを短く書いていて。 テレビを消して30分だけちょこっと読むときにおすすめです。なにかを押し付けるわけではなくて、淡々とあったことを書いてるだけなので気負いなく読めます。 あとは『文にあたる』(牟田 都子 著、亜紀書房)。校閲の仕事をしている著者がその思いを書いている本です。1項目2~3ページなので、短編のように読みやすいと思いますよ。 ──最後に、印南さんの読書哲学を教えてください。 読書哲学みたいに大層なものはないけど、あえていえば「読書は日常」だということかな。読書って、決して特別なものではないはずだから。 それから大切なのは、「その読書は自分のためにある」ということ。 本来、「こう読まなければダメだ」みたいな決まりはないし、どう読むべきかは自分が決めることだと思うんです。まわりの人とは違ったとしても、自分が持っている選書の基準や読書スタイルは、少なくとも自分にとっては絶対に正しいはずですからね。それは信じたほうがいいと思います。 その読書を自分以外のなにかのために、と思っちゃうから、読めなくなっちゃう。でも読書は、その体験自体を自分の所有物だと思った方がいいって考えです。読書は、間違いなく自分のもの。 みんな気づいていないだけで、本は手に取るとワクワクするもの。そういった気持ちはあると思うんです。だからこそそれを思い出して大切にしてほしいですね。 ▼前編 本が読めないと悩む人へ。書評家・印南敦史さんに聞く「読書との向き合い方」 印南敦史さんが講師として登壇! 無料トークイベント「読みたいのに読めない人のための読書入門」~光文社新書ビジネス講座~ 日時:2025年 1月10日(金)18:30~ 所要時間:90分(トーク60分+質疑応答15分+サイン会15分) 会場:紀伊國屋書店 新宿本店 3F アカデミック・ラウンジ 主催:光文社、共同主催:紀伊國屋書店 イベント詳細・申し込みはこちらをチェック>> お話を伺った方:印南敦史さん 作家、書評家。1962年東京都生まれ。作家、書評家。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。「ライフハッカー・ジャパン」で書評連載を担当するようになって以降、大量の本をすばやく読む方法を発見。年間700冊以上の読書量を誇る。「東洋経済オンライン」「ニューズウィーク日本版」などのサイトでも書評を執筆するほか、「文春オンライン」にもエッセイを寄稿。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社、のちにPHP文庫)、『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)など多数。最新刊は『現代人のための読書入門 本を読むとはどういうことか』(光文社新書)。
saori