米FRBの利下げ決定で市場はどう動くのか? ソフトランディングの利下げは株式にも債券にもプラス
9月18日、米FOMCの結果が発表される。0.25%なのか、0.50%なのか、その利下げ幅については発表を待たなければならないが、この決定によって、米国の金融政策は新たなステージに進むことは間違いない。その新たな環境で米国の経済は、金利は、株式市場は、為替は、どのように動くのだろうか? 世界的な債券アクティブ運用大手のPIMCOが米FOMCを前にして9月12日、「利下げとその影響」と題したレポートを発行した。執筆者は、非伝統的戦略担当の最高投資責任者であるマーク・P・サイドナー氏とポートフォリオ・マネージャーのプラモル・ダワン氏。レポートは、今回の利下げについて「金利の正常化への取り組み」と捉え、「債券のプラス要因が強まる」と見通している。
9月は「金融政策と金融市場にとっても、しばしば大きな転換期となってきた」とレポートは振り返っている。1998年9月にはアジア金融危機の後にロシアの対外債務支払い凍結をきっかけに米ヘッジファンドのLTCMが経営危機に陥り、それを救うためにFRBが利下げを実施した「LTCMショック」があった。2007年9月にはサブプライムローン問題をきっかけにFRBが利下げを実施。2008年9月15日にリーマン・ブラザーズが破たんする「リーマン・ショック」が起きた。そして、この9月18日のFRBの政策決定会合も「重要な意味を持つ可能性がある」とする。今回の利下げは、「初期の危機対策ではなく、インフレが落ち着いたように見える中、緩和は正常化の合図になる可能性がある」という。
「FRBの緩和サイクルは1つとして同じものはない」と、レポートは過去の利下げ時のパターンを押し当てて、今後を類推することの限界を明らかにしている。ただ、その時々のFRBの議論の経過、経済統計の動きなどから、いくつかのパターンが存在し、大まかな方向感をつかむことは可能だ。今回の利下げは、インフレが持続的に目標水準に戻る軌道に乗ったことから「労働市場の冷え込みに対処するための予防的利下げ」と捉えることができる。PIMCOの基本シナリオは、「FRBは年内に3回、合計0.75%の利下げを実施するとの予想を継続し、今回の緩和サイクルでもFRBは緩やかに緩和を開始し、今後の経済データ次第で利下げのペースを速める選択肢を残しておく可能性が高い」と予想している。