2年で250店舗と驚愕の出店数~安い、うまい!「鰻の成瀬」
「鰻の成瀬」躍進の秘密~コスト削減&独自のFC戦略
〇躍進の秘密1~徹底的なコスト削減 「鰻の成瀬」の横浜本店は、横浜駅からは10分以上離れた集客力の低そうな住宅街の中にある。山本には、駅から遠くても客は必ず来てくれるという読みがあった。 「うなぎは『目的食』とよく言われます。何を食べようかなと考えて入るのがラーメン店や『マクドナルド』のようなファストフード店。うなぎは『うなぎを食べよう』で店を探す。探す時にスマートフォンやパソコンで調べてその店を目指していくので、一等地にあってもあまりメリットがない」(山本) 実際に聞いてみると「ネットで調べて来た」という客が多い。わざわざ来てくれるから、家賃が60万円ほどかかる横浜駅前ではなく、20万円の場所でやっていけるのだ。
店内にもコストを抑える工夫がある。あちこちにすだれがかかっているが、「自分たちでつけた。都合の悪いところはすだれで隠した」(山本)と言う。 実はもとは海鮮居酒屋で、すだれの裏には前の店のメニューが隠れていた。テーブルもDIYで手作り。さらに店の看板は値段が高いので、プリントしたシートに。従業員も「キッチン経験はない。できちゃうもんですね」と言う。 この横浜本店の成功が加盟店の増加に繋がったという。 「すごく予算をかけて売れる店を作っても『それはお金をかけたから』と言われるとFC加盟の参入障壁になってしまう。『あの店でもいけるんだ』と思ってもらえるようにした」(山本) 〇躍進の秘密2~加盟店の結束力 福岡福津店は2024年4月にオープンしたばかりのFC店。オーナーの野田健留は2024年3月まで小学校の教師だった。畑違いの転職の強い味方が「FCオーナーなど400名くらいが入っているグループライン」と言う。そこには、野田が出店する際、他のオーナーからの、かかる費用についてのアドバイスが寄せられていた。 「計算してくれるんです。スケルトン(内装がない状態)の時はこれくらいで、居抜き物件の場合とこれくらいの差が出るよ、と。ありがたかったです」(野田) 店舗はもともと寿司店だったため、ほとんど手を加えずうなぎの店に。内装費も50万円以下で済んだという。 「何もないスケルトンの状態だと内装だけで1000~2000万円かかったと思います」(野田) 他のオーナーのアドバイスで売り上げも順調だという。 「5月が売り上げ515万円、6月が610万円。半年から8カ月で回収できる見込みです」(野田) 一般的にFCチェーンはオーナー同士のつながりは薄いが、「鰻の成瀬」はみんなで助け合う仕組みを作った。