24年日本株勝者は金融やバリュー株、日銀利上げと物言う株主が存在感
一方、陸運業や電気・ガス業など公益セクター、パルプ・紙など有利子負債が相対的に多く、金利上昇で借り入れコストが増え、収益を圧迫すると懸念されたセクターの年初来騰落率はマイナスとなっている。
自動車を含む輸送用機器、電機など輸出セクターもTOPIXをアンダーパフォーム。外国為替市場の円相場が7月に対ドルで一時161円95銭と約38年ぶりの円安を付けたことが下支えしたが、市場の関心が日銀に移ったこともあり、以前と比べ円相場の変動に左右されにくくなった。
岸田文雄前政権から石破茂政権に代わっても、世界的に物価が高止まりする中で企業に対し引き続き賃上げを求めている上、日銀もさらなる金融政策の正常化を目指しており、市場では日本のインフレ傾向が25年の日本株相場を支えるとの見方が出ている。トランプ次期米大統領が海外製品に対する関税の導入を示唆し、世界経済の先行きに懸念があることも投資家の目を日本国内に向かせる要因の一つだ。
24年の日本株市場で上昇が目立ったセクターや投資スタイルの詳細と市場関係者の見方を以下で紹介する。
金融
日銀が8年余り続いたマイナス金利政策を見直し、収益面で金利上昇の恩恵を受けるとみられた金融セクターが高騰。業種別上昇率トップの保険株ではSOMPOホールディングスが78%高、MS&ADインシュアランスグループホールディングスが83%高と指数以上に上げ、銀行株では楽天銀行が2.1倍、三井住友フィナンシャルグループやりそなホールディングスは50%超上昇と上げが目立った。
中古車販売会社による自動車保険の不正請求や共同保険料の事前調整問題が発覚した保険株では、金融庁が企業構造の透明化を目指して株式持ち合いに対する監視を強化した結果、政策保有株を縮減する動きが本格化したことも上昇要因だ。
ポーラーのスミス氏は、政策保有株の減少は長期的に有益で、保険料値上げの影響も明らかになるため、保険株の好調は来年も続くだろうと予想。「保険業界は国内の金融サイクルと企業改革の両方の追い風を受けている」と指摘した。