『風来のシレン』シリーズに見る日本におけるローグライクの進化の過程【げむすぱローグライク/ローグライト部】
『初代』シレン(SFC版)と『NetHack』の決定的な違いが、「一度行ったダンジョンの階層に後戻りできるか」です。『NetHack』は複数のダンジョンや拠点を行き来し、最終的には昇天して神になるのを目標にしているのに対し、『初代』シレンは「後戻りのできない一本道のダンジョンをゴールを目指して進む」のが目的です。ここに『NetHack』以降の海外製伝統的ローグライクと、『シレン』をはじめとする国産ローグライクの決定的な差があります。
海外製伝統的ローグライクは長いスパンで武器や防具やアイテムを集め、準備万端にして最後の目標に挑むのに対し、国産ローグライクは多くのものが後戻りのできないダンジョンの中でいかに武具を研ぎ澄まし、訪れたピンチや強敵をどうアイテムを使って切り抜けるか……という、『Rogue』独自のゲーム性を引き継いだものが多いのです。
3DダンジョンRPG(DRPG)の世界でも初期の『ウィザードリィ』から『ダンジョンマスター』『マイトアンドマジック』のようにリアルタイムやオープンワールドという方向性で進化していった世界的なDRPGとは異なり、日本のDRPGは『ウィザードリィ外伝』シリーズをはじめとした「快適なトレジャーハンティング」を軸にしつつ、さまざまな種族や戦闘の要素を盛り込んでいくという独自の進化を遂げてきたのですが、それと似たようなことが「ローグライク」の世界でも起きていたのです。『初代』シレンは、日本のローグライクゲームが世界的な方向性とは異なる方向で進化する先駆けとなったゲームといえるでしょう。
『シレン』のこれまでとこれから
『初代』以降、『シレン』はシリーズ化し、2010年の『シレン5』まではコンスタントに新作がリリースされていました。その中でアイテムの呪い・祝福、食料がおにぎりでなくバナナ、昼と夜が入れ替わるなど、さまざまなシステムを実装または廃止しながら少しずつゲームの完成度を高めていくことになりました……が、そこからはシリーズの長い沈黙が続きました。
【関連記事】
- 『風来のシレン6』で「アスカ」を操作できる!追加ダンジョンを含むDLC「plusパック後編」配信開始―機能追加アプデ第4弾も
- コッパ&アスカがプレイアブルキャラに!『風来のシレン6』有料追加コンテンツ「plusパック」が前後編で登場―新ダンジョンも10個追加
- 海外レビューハイスコア『不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録』―習得は簡単、マスターは難しく、そして中毒性が高い、『シレン』があるべき姿
- 【吉田輝和の絵日記】アイテムは大盤振る舞いで生き延びろ!どうせ死んだら全ロストしちゃうんだし…『不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録』
- ポケットペア、任天堂とポケモンの『パルワールド』訴訟内容について公表―本作の差止め請求も含まれることが明らかに