「クライマックスの料理シーンをもう一回見たい」というシェフも! プロの料理人も涙「グランメゾン・パリ」のリアル
映画の中で「外国人が日本ですし店を開いたとして、三つ星クラスの食材が簡単に手に入ると思うか?」というせりふがあった。 料理以前に食材集めひとつとっても、フランスにおいて外国人である日本人がフランス料理で三つ星を取るというのは、シェフ(尾花)ひとりの才能や努力だけでは到底実現できない、想像を絶するほど困難なことなのだ。退路を断ってその困難に挑む尾花たちの姿に、スクリーンの前で自らの生き方を重ねる人も多かったにちがいない。
そして『グランメゾン・パリ』は、多様性を受け入れながら伝統を革新させてきたフランス料理の本質を、ストーリーの重要な骨格として据えた。 フランス料理の本質的な強さは、常に進化と革新を続けるところにある。そのことを訴えかける今回の『グランメゾン東京』と『グランメゾン・パリ』は、ゲストと、そしてみずからの料理と日々向き合うプロの料理人たちの心をも動かすものになったといえるだろう。
星野 うずら :レストランジャーナリスト