「ハリー・ポッターと賢者の石」日本語版出版から25 年 翻訳者・松岡佑子さんインタビュー 「ここまで惚れ込んだ作品、他にない」
記念パーティーを開催! ファンが選ぶ名場面の朗読も
12月1日、『ハリー・ポッターと賢者の石』25 周年出版記念パーティーが開催された。会場は、ホテルニューオオタニ ガーデンコートにある「シリウスの間」。偶然にも、物語の登場人物、シリウス・ブラックと同名の部屋に、およそ130人のポッタリアン(「ハリー・ポッター」シリーズファンのこと)が集まり、記念日を祝った。 参加者は、ホグワーツ魔法魔術学校のように、グリフィンドール、レイブンクロー、ハッフルパフ、スリザリンの4寮に分けられ、それぞれのカラーのテーブルへ。ホグワーツの制服であるローブをまとい魔法の杖を手にしている人やキャラクターにふんしている人など、物語の世界を楽しむ様子が伺えた。 パーティーがはじまり、翻訳者の松岡佑子さんが登場。作品との出会いから翻訳、出版に至るまでの軌跡、25周年を迎えた想いを語った。 次に、2022年よりロングラン公演中の舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」の出演者から、吉沢悠さん(ハリー・ポッター役)、ひょっこりはんさん(ロン・ウィーズリー役)、大沢あかねさん(ジニー・ポッター役)、榊原郁恵さん(マクゴナガル校長役)が登場。ファンが選ぶ、シリーズの名場面を朗読した。 榊原さんは、第7巻『ハリー・ポッターと死の秘宝』第33章より、ダンブルドアとスネイプのシーンを朗読。スネイプの「永遠(とわは)に」という言葉は、舞台にも出てくるセリフということもあり、「どう言ったらいいのか、とても考えました」という榊原さん。それを聞いた松岡さんは「『永遠に』は、原書では『always』と書かれています。平たく訳せば、いつでも、いつまでもということだと思うんですけど、私はどうしてもその言葉に感情移入をしてしまい、『永遠に』としました。私の好きな翻訳の部分です。役者さんにとっては、短い言葉なので、そこに感情を込めるのは苦労するかもしれませんね。今日は、役者のみなさんが、どんなふうに作品を解釈してくださっているのかがわかって、とても楽しかったです」と話した。 最後には、25周年記念のオリジナルケーキが登場。会場からの「おめでとう」の声に合わせてケーキカットが行われ、参加者に振舞われた。 <松岡佑子(まつおか・ゆうこ)さんプロフィール> 翻訳家。国際基督教大学卒、モントレー国際大学院大学国際政治学修士。日本ペンクラブ会員。スイス在住。訳書に「ハリー・ポッター」シリーズ全7巻のほか、「少年冒険家トム」シリーズ、映画オリジナル脚本版「ファンタスティック・ビースト」シリーズ、『ブーツをはいたキティのはなし』『とても良い人生のために』『イッカボッグ』『クリスマス・ピッグ』(以上、静山社)がある。 (文:坂田未希子)
朝日新聞社(好書好日)