【光る君へ】肉食女子・明子と重なる「六条御息所」とは!? 嫉妬のあまり相手の女を呪い殺した恐ろしい美女
NHK大河ドラマ「光る君へ」最新話では、道長(柄本佑)に積極的に迫るもうひとりの妻・明子(瀧内公美)のシーンが話題となった。そんな明子の役柄のヒントとなっているのが、『源氏物語』に登場する六条御息所である(瀧内コメントより)。六条御息所といえば、光源氏が他の女に心移りしたことで嫉妬の炎を燃え上がらせたとして知られる女性である。どんな女性だったか、振り返ってみよう。 ■生霊、死霊となって女を苦しめた六条御息所とは? 『源氏物語』の主人公・光源氏が愛した女性たちのうち、筆者が一番注目するのが、桐壺帝の弟の妃であった六条御息所である。一人娘(秋好中宮)をもうけたものの、20歳で夫と死別。若くして未亡人となった美しい女性であった。 皇太子の妃という高い身分でありながら、聡明かつ美貌の持ち主となれば、まさに絵に描いたような理想の女性というべきだろう。プレーボーイの光源氏にとっても、皇太子存命中は雲の上の存在。 とても手出しが出来るものではなかったが、皇太子が亡くなったとなれば話は別。その美貌に惹かれて猛アタック。気位の高い未亡人も、14歳も年下の美少年に言い寄られては詮無く、ついほだされて一夜を共にしてしまったという訳である。 ところが、光源氏にしてみれば、手に入れ難いものを手に入れた喜びとともに、つかの間の逢瀬を楽しんだものの、飽きがくるのも早く、興味は他の女性へと移ってしまった。気位が高く、容易に心を開いてくれそうもない女性に、情熱を傾け続けることができなかった……との弁明も聞こえてきそうだ。 一方、御息所の方は、男の訪れが遠のくにつれて、かえって男への思いが募っていった。若い恋人にのめり込んだものの、相手にされなくなって、悶え苦しむのである。 ともあれ、このあたりまでなら、若い男にのめり込んだ末の女の悲哀というような形容で幕を閉じられそうだが、御息所の執着心は半端ではなかった。なんと、生霊や死霊にまでなって、光源氏の妻や愛人に取り憑いて苦しめ、時には呪い殺してしまったというから恐ろしい。 生霊によって呪い殺されたのは葵の上。死霊が取り憑いて苦しめられたのが、紫の上と女三ノ宮であった。いずれも、光源氏の正妻や愛人である。 葵の上の場合は、葵祭で葵の上のお供のものから、御息所の乗った牛車を押しのけられるという恥辱を受けたことが引き金。さらには、「妻とは疎遠になっている」と言いながらも、その実、妻を妊娠させたことに嫉妬の炎を燃え上がらせたのである。 他の女へと心移りしたことに恨みを募らせるとともに、女たちから辱めを受けたことに対して、許せない思いが重なったという訳である。