【光る君へ】肉食女子・明子と重なる「六条御息所」とは!? 嫉妬のあまり相手の女を呪い殺した恐ろしい美女
■嫉妬に狂った北条政子との違いとは? ちなみに、「嫉妬」と聞いて思い出すのが、源頼朝の妻・北条政子である。こちらは御息所とは違って、権勢欲も強く、勝気で一本気。夫に対しても強気で、しおらしい雰囲気は感じられそうもない。御息所との共通点は、ともに「嫉妬心」が強かったという点だけである。 ただし、政子の場合は、夫が妾を持つことに当初より強く反対。そのため、頼朝は妻に隠れて、こっそりと妾との逢瀬を楽しんだようだ。そのお相手が、亀の前であった。 しかし、逢瀬はすぐにバレた。怒り心頭の政子は、なんと、亀の前が隠れ住む屋敷に兵を送り込んで、散々に打ち壊したというから凄まじい。そればかりか、亀の前をかくまった人物まで流罪に処したというから、何とも執念深い。もちろん夫に対しても、激しく感情をぶつけたことも想像に難くない。 この政子の場合は、「嫉妬」だけでなく、夫という所有物を奪われたことで、妻としての「自尊心」を傷つけられたことも加わった。そのため、「哀しみ」よりも、「恨み」や「憎しみ」の方が大きかったのだろう。その報復に自制心が効かなくなって、破天荒な行動を起こしたと考えられそうだ。 一方、御息所の場合は、光源氏に対する未練が残ったことで、男への直接的な行動には歯止めがかかった。それでも、男が愛する女たちを苦しめたことで、かえって男まで苦しめてしまったことは想定外であった。 御息所の苦悩は、女たちに制裁を加えることで解消できるかと思われたものの、その実、愛しの男まで苦しめてしまった。結局は、死してなお悶え続けなければならないという、負の連鎖に落ち込んでしまったのである。
藤井勝彦