メルセデス・ベンツEクラス 詳細データテスト ディーゼルセダン健在の証明 快適性は改善の余地あり
快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆
乗り心地には残念なところもあるが、おおむね快適なクルマではある。もしもSUVのドライビングポジションがお好みでなければ、とりわけそう感じるだろう。5シリーズほど低く座らせるわけではないが、過剰なスポーティ志向ではないセダンとしては適当だ。 操縦系は、それぞれの相対的な位置も含めて正しくレイアウトされていると思えるもので、ステアリングホイールとシートの調整幅は広い。シート自体は、パッドは硬めだがサポート性には優れている。 メルセデスは空力における優位性や、約500ものマイクで不快なキャビンノイズを検出したエンジニアたちの仕事ぶりを謳うが、静粛性において新たなスタンダードを打ち立てるまでには至らなかった。風切り音はかなり抑え込んだが、高速道路の速度域ではロードノイズが明らかに気になる。113km/hでの室内騒音は67dBAで、2022年に計測したアウディA6より2dBA大きかった。
購入と維持 ★★★★★★★★☆☆
新型Eクラスのエントリーモデルは、5万5290ポンド(約1051万円)のE200 AMGラインで、E200dは1635ポンド(約31万円)高の5万6925ポンド(約1082万円)。今回のテスト車は6万8785ポンド(約1307万円)で、これらはライバルたちより高めの値付けだ。 とはいえ、どのグレードを選んでも装備は充実している。レザーシートはヒーターとベンチレーションが付き、エアコンは最低でも2ゾーン式。キーレスエントリーやアダプティブクルーズコントロールも標準装備だ。 同等エンジンの5シリーズは、これより本体価格が低い。ただし、オプションで装備内容を揃えればEクラスの中級グレード並みになる。アウディA6ならもっと安いし、ジャガーXFなら2万ポンド(約380万円)節約できる。ゼロひとつ多いようだが、間違いなく本当の価格差だ。 税制優遇を考えると、PHEVのE300eという選択肢もある。ワゴンのAMGライン・プレミアムプラスを除くが、このクラスでEV航続距離113km以上という英国の優遇基準をクリアできるクルマはじつに少ない。 リアルな燃費もかなりのものだ。テストでの平均値は16.1km/Lだが、これは動力計測も含めた数字で、普段使いでは20km/L以上の数字をコンスタントに出していた。粛々と走れば、無給油1500kmも夢ではない。