主要国の財政健全化、IMFが強く訴え-全世界の公的債務100兆ドル
(ブルームバーグ): 主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席するためここ数日中にワシントンに向かう当局者は、既に国際通貨基金(IMF)から緊縮財政を求められている。
今後の時代を左右する米大統領選を2週間後に控え、世界がインフレ危機からようやく立ち直りつつある中で、財務相・中央銀行総裁はできる間に財政を立て直すことを強く要請されている。
21日にワシントンで年次総会が始まるIMFは、世界経済について発表する一連の予測・研究結果で強調したいテーマを、既にいくつか指摘した。
23日に発表されるIMFの「財政モニター」は、中国と米国を中心に世界全体の公的債務が今年100兆ドル(約1.5京円)に達すると警告する内容になる見通し。IMFのゲオルギエワ専務理事は17日の講演で、こうした膨大な債務が世界の重しになりつつあることを強調した。
「われわれの予測では、低成長と高債務という容認できない組み合わせが示され、困難な未来が待ち受けている」と指摘。「政府は債務を削減し、次のショックに備えて防御策を再構築しなければならない。それは今後、確実に起こり、その時期はわれわれの予想より早いかもしれない」と警鐘を鳴らした。
今週中に一部の財務相はさらに注意を受ける可能性もある。リーブス英財務相は、債務が安定しなければ市場が反応しかねないとIMFから既に警告を受けている。22日に発表される統計は、同相が30日に予算案を発表する前の最後の財政データとなる。
一方、ムーディーズ・レーティングスは、投資家の厳しい目にさらされているフランスについて、25日にリポートを発表する可能性がある。フランスに関するムーディーズの格付けは同業他社より1段階高いため、格付け見通し引き下げの有無が市場で注視されるだろう。
借り入れが多い国に関しては、全ての国・地域の問題だという厳しい警告がIMFが既に公表したリポートの一部でなされている。