埼玉と千葉を徹底比較!コスパ良いマンションが買えるのはどっち?
タワマン増加が要因?千葉のマンションが人気になった理由
なぜ、そんな逆転現象が生じているのか。その理由はいくつか考えられる。 ひとつはコロナ禍で在宅時間が長くなり、家で過ごす時間を大切にする傾向が強まったことがある。その影響で自然環境に恵まれ、専有面積が広い千葉県が見直されるようになったのではないか。 特に流山市、柏市など、子育てに力を入れている自治体への注目度が高まり、そこに新築マンションの供給が増えている。また、千葉県のなかでも都心へのアクセスが便利な地域では駅近物件の開発が相次ぐ。こうした利便性が千葉県全体の価格を押し上げる要因となっている。 加えて、千葉県でタワーマンションの供給が増えている点も無視できない。2022年までは埼玉県のさいたま市(大宮区や浦和区)、川口市などでタワーマンションが多数供給され、それが価格を押し上げきてきた。しかしそれが落ち着いて、代わりに千葉県でタワーマンションが増加している。新浦安駅のツインタワーや津田沼駅近くの超高層マンションなど、人気物件が相次いでいるのだ。 今後も千葉県のタワーマンションが増える! そして図表3を見てみると、今後の超高層マンションの供給数は千葉県が埼玉県を大きく上回る状況が見て取れる。 図表3 首都圏超高層マンションの竣工年次別の供給数 (単位:戸) 2023年竣工では、埼玉県が654戸に対して、千葉県は397戸と埼玉県のほうが多かったが、2024年以降は逆転する。2024年の竣工予定は埼玉県が522戸、千葉県が1,366戸。さらに2026年には埼玉県が525戸に対して千葉県が3,441戸と、6倍以上になる見込みだ。 超高層マンションは、一般的な中高層マンションに比べて価格が割高になるため、千葉県の平均価格がさらに上昇する要因となりそうだ。この状態はしばらくは続くことになるのかもしれない。
千葉県のマンションは割安感があるのはなぜ?
千葉県なら埼玉県より4.5㎡広い ここからは中古マンションについても、分析してみよう。千葉県と埼玉県のマンションを広さで比較すると、千葉県は埼玉県よりも専有面積が平均で4.5㎡広い。埼玉県が67.6㎡なのに対し、千葉県は72.0㎡と、ウォークインクローゼット分に相当する広さの違いがあるのだ。これは築年数帯でも異なる。 例えば、「築21年~築25年」の物件では埼玉県が76.4㎡であるのに対し、千葉県は81.5㎡と80㎡を超える。築30年以上の物件になると、埼玉県が67.1㎡、千葉県が74.6㎡でその差は7.5㎡に拡大している。つまり築年数が長くなるほど、全体的な部屋の広さは狭くなるものの、格差は大きくなる傾向が見られる。 ちなみに首都圏の中古マンションを5年刻みの築年数帯でみたとき、専有面積が80㎡を超えているのは千葉県の「(築16年)~築20年」「(築21年~築25年)」だけ。それだけ千葉のマンションの部屋が広いということになる。 ※参考:首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別制約状況(2024年7月~9月) 1㎡あたりの単価で見ると割安感がある千葉 このように千葉県のマンションは専有面積が広いため、全体の価格が上がりやすいが、1㎡あたりの単価で見ると割安感がある。 東日本不動産流通機構のデータを見てみると、2024年10月の成約㎡単価は埼玉県が43.83万円/㎡ に対して、千葉県は39.32万円/㎡と、千葉県の方が埼玉県よりも1㎡あたり約4.51万円安いことがわかる。また2023年度の中古マンション成約価格は埼玉県が2,936万円に対して、千葉県は2,811万円で、埼玉県のほうが125万円高くなっている。 しかし、2024年度に入ると千葉県のほうが高くなる傾向がみられる。2024年4月~6月の都県別・築年数帯別の成約価格データを見ても埼玉県が2,887万円で、千葉県が2,918万円となっており、千葉県が埼玉県を上回る傾向が見て取れる。 図表4は、2024年7月~9月の千葉県と埼玉県の中古マンションの築年数帯別の成約価格である。「~築5年」の築浅マンション、「(築11年)~築15年」「(築21年)~築25年」「(築26年)~築30年」「築30年~」では、埼玉県のほうがやや高くなっている。「(築6年)~築10年」「(築16年)~築20年」では、千葉県のほうが高いという結果だ。 図表4 千葉県と埼玉県の中古マンションの築年数帯別の成約価格(単位:万円) 築年数帯によって、どちらが高いのかは微妙に違ってくるので、選択に当たっては、入念にチェックする必要がありそうだ。