マイナ保険証“賛否”以前の「違法・違憲の問題」とは? “1415人の医師・歯科医師”が国を訴えた「行政訴訟」が28日判決へ
12月以降、他の「法的問題点」について訴訟提起がされる事態も?
本件訴訟で争点となった「憲法41条・健康保険法70条違反」の問題は、実は、法的問題点として指摘されていることの「一つ」にすぎない。 弁護士や学界からはこの他にも、地方自治の侵害(憲法92条~95条参照)、必要な医療サービスを速やかに受ける「医療アクセス権」の侵害(憲法13条、25条参照)、情報プライバシー権・自己情報コントロール権の侵害(憲法13条参照)等の問題が指摘されている。 現時点で、それらの法的問題点について「訴訟」が提起されていない理由は、国民が訴訟を提起できるのは、原則として、自分自身の権利が制限・侵害され、または義務を課された場合に限られるからにすぎない。 国会議員の中にも、与野党問わず、慎重な姿勢を見せる議員が少なくない。現に石破首相も、自民党総裁選挙の時点では「一本化方針の見直し」に言及していた(首相就任後に一転「堅持」に転じた)。これは、法的観点から様々な問題を抱えていることとも無関係ではない。 もし、実際に政府が12月から「マイナ保険証への一本化」を強行した場合、上述の法的問題が、訴訟として顕在化する可能性が懸念される。そのことは、政府にとっても決して望ましいことではないだろう。 本件訴訟の判決は11月28日に言い渡される。どのような判断が下されるのか、注目される。
弁護士JP編集部