兵役免除ならずの“友”を気遣う 韓国ゴルフ男子と金メダル獲得名手のやり取りを英紙が脚光「驚くべき謙虚さだ」【パリ五輪】
現地時間8月4日にパリ五輪の男子ゴルフが最終日を迎え、金メダルは通算19アンダーを記録したスコッティ・シェフラーが獲得。前回東京五輪4位の松山英樹は6バーディー、ボギーなしの65で回り、通算17アンダーで銅メダルを獲得した。 男子ゴルフでは日本勢初となるメダル獲得となった松山。その快挙に32歳も笑みを浮かべた一方で、舞台裏では涙をのんだ選手もいた。韓国代表として初出場を果たしたトム・キムだ。 最終日を首位とわずか4打差の6位で臨んだ22歳だったが、18番ホールで痛恨のダブルボギーを記録。3位となった松山と4打差の8位と惜しくもわずかにメダル獲得とはならなかった。 通算13アンダーの好成績で大会を終えたトム・キム。しかし、金メダル獲得を逃したことで、今大会での兵役免除の権利も失った。これが直接的に関係しているかは不明だが、22歳は大会後のクラブハウス内で涙。力なく首を振る姿から、その落胆ぶりは明らかだった。 海外メディアでは、トム・キムの涙が大きく取り沙汰された。英スポーツ専門ラジオ局『talk SPORT』は「この1年、一生懸命に努力してきたからこそ、こうした感情が出たのかもしれない」という本人のコメントを紹介。その上で「彼は間違いなく表彰台に上がれば、兵役義務が免除されることを知っていた」と指摘した。 また、英紙『Daily Mail』は金メダルを獲得したシェフラーが、コース終了後にガクッと項垂れたトム・キムに言葉をかけ、慰めたシーンをクローズアップ。「シェフラーの驚くべき謙虚さだ。彼は兵役義務を回避するチャンスを逃した友人を慮る上品な振る舞いを見せた」と紹介している。 もっとも、トム・キムが兵役免除の可能性を完全に失ったわけではない。韓国の兵役法施行令では男性は28歳になる前までの入隊が義務付けられており、2026年に日本で開催されるアジア大会、もしくはその2年後に開催されるロサンゼルス五輪でメダルを獲得すれば、免除される。 パリで涙を流したトム・キム。その悔しさを国際舞台で晴らせるかに注目だ。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]