「大腸がん」の新しい検査法、便潜血より良好な検出感度を示す 普及の期待高まる
大腸癌の新たな検査、従来の免疫便潜血検査より良好な検出感度を示す アメリカのワシントン大学らの研究グループは、「mt-sRNA検査(マルチターゲット便中RNA検査)という新しい大腸がん検査が、従来の免疫便潜血検査と比較して、より良好な検出感度を示す」と発表しました。この内容について、甲斐沼医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
研究グループが発表した内容とは?
編集部: アメリカのワシントン大学らの研究グループが発表した内容について教えてください。 甲斐沼先生: アメリカのワシントン大学らの研究グループは、大腸がんを調べるmt-sRNA検査という新しい検査法の検出感度について調べました。研究成果は、学術誌「JAMA」に掲載されています。 研究グループは、平均的な大腸がんのリスクがある45歳以上の1万4263人に便検体採取キットを提供し、便検体採取後72時間以内に採取キットを中央検査施設に送付してもらいました。 その後、検体提出者には各地域の内視鏡センターで大腸内視鏡検査を受診してもらっています。便検体は、従来のFIT(免疫学的便潜血検査)、便中の8種類のRNA転写物濃度と自己報告の喫煙状況を組み込んだmt-sRNA検査をおこない、結果を判定しました。 便検定採取キットを提供した1万4263例のうち、mt-sRNA検査および大腸内視鏡検査をいずれも完遂し、検査対象として認められた8920例を対象に解析がおこなわれました。対象のうち、全体の0.4%の36例に大腸がん、6.8%の606例に進行腺腫が認められました。 大腸がん検出感度はmt-sRNA検査が94.4%、従来のFITが77.8%となり、mt-sRNA検査の感度が有意に高くなりました。 また、進行腺腫検出感度はmt-sRNA検査は45.9%、従来のFITは28.9%で、こちらもmt-sRNA検査の感度が有意に高い結果となりました。なお、大腸内視鏡検査で病変が認められない場合の特異度は87.9%でした。 研究グループは、今回の研究結果に対して「45歳以上の患者において、mt-sRNA検査は大腸がんおよび進行腺腫に対して高い感度を示し、FITと比較して感度が有意に改善した。 大腸内視鏡検査で病変が認められなかった場合の特異度は、既存の分子診断検査と同等であった」と結論づけています。