【全文】東芝・田中社長「直接的な指示をした認識ない」 不適切会計で会見
見かけ上の利益のかさ上げを行ったという認識はあるのか?
質問者(11):テレビ朝日のヒイラギと申します。田中社長に質問します。今回、第三者委員会の調査報告で、いわゆる歴代社長が「チャレンジ」という言葉で目標達成を迫ったということから不適切な会計が行われたと。つまり経営判断として行われたと結論付けられていますが、こうした難しい目標を掲げたきっかけ、身の丈に合ったというか、さらに高い目標を掲げてしまった背景というのは、いったいどこにあるんでしょうか。また、田中社長がやはり、田中社長としては指示した認識はないということでしたけれども、やはり厳しく受け止めてしまった。田中社長がそうせざるを得なかった背景にはどういったところがあったんでしょうか。 田中社長:「チャレンジ」という言葉自体がいいかどうかと、報告書の中ではプレッシャーを与えたというような記述もいただきました。目標を掲げるということは、先ほども申し上げましたように、決してそれ自体は悪いことではないと。ただ、それが実現可能なレベルなのか、あるいは実現が不可能なレベルなのか、そういったレベルの差、あるいは解釈、あるいは受け手の認識というものが確かにあるのではないかというふうには思っております。その辺も含めまして、今回の第三者委員会の報告書の中身を今後、精査させていただく中で、今後どのように対応すべきか、予算の組み方、そしてその予算の達成状況の確認をどのようにやっていくべきかということも含めて経営刷新委員会の中で対応を考えていただけるんではないかというふうに思っております。 質問者(11):私が聞きたいのは田中社長も何かすごい、プレッシャーを受けていて、そうしたところからこうした、そもそもこうしたことが起きる、起きてしまった、田中社長がなぜそうした、起きてしまったことに対して、どうしてそういうふうになってしまったのかというところが聞きたいんですけれども。 田中社長:私自身が誰かから、あるいは何かからプレッシャーを受けてたという認識はございません。 質問者(11):じゃあもう1つ。一方で今、私の取材含めていろいろ言われているのが、ウェスティングハウスの買収で一時はそれが思うように利益が上がらず、一時は2015年3倍と言っていた、そういった時期もあったと思います。それが思うようにいかなかったことが、それが達成できないから今回のような、迫るようなことにつながっていったんじゃないかというような話も聞こえてきますが、それについてはどうなんでしょうか。 田中社長:ウェスティングハウスですか、が、原因というふうには思っておりませんが、ウェスティングハウスの状況については前田のほうから少し説明をさせていただきます。 前田:ウェスティングハウスそのものの数字は大変申し訳ございません、現状まで開示してございませんが、ウェスティングハウスそのものの上げるキャッシュフロー、ならびに損益につきましては、その8割以上はいわゆる保守ならびに燃料の交換でございます。つまり安定した収益をきっちり上げているというように私どもは認識してございます。さらにそれに加えまして近年、東京の国内の、日本の原子力事業部とのシナジー、これが着実に実を結んでございまして、具体的な数字は本日はちょっと公表は差し控えさえていただきますが、買収当時に比べますと営業利益は大幅に拡大してる現況にあるということでございます。以上がウェスティングハウスの現況でございますので、今ご質問のあったような懸念というのは、特に大きくは感じていないということでございます。 司会者:よろしいですか。じゃあ、一番前の方。 質問者(12):NHKのヨシノと申します。先ほどから出てる「チャレンジ」という言葉なんですが、これ、田中社長は「チャレンジ」という言葉をどういう趣旨で、どういう文脈でお使いになられたのかと。まずこの点からお願いします。 田中社長:私自身は「チャレンジ」という言葉は使っておりません。 質問者(12):使った覚えは一切ないと。 田中社長:「チャレンジ」はですね。確か報告書の中にも触れられていたと思います。私は必達目標値という言葉を使っておりました。 質問者(12):報告書の中には、経営トップが見かけ上の利益のかさ上げを行ったということが書かれてますが、そういった認識はありますでしょうか、田中社長。 田中社長:個別の事案についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。第三者委員会の調査報告書をご覧いただきたいと思います。 質問者(12):先ほどから第三者委員会の報告書をご覧いただきたいということですが、こちらが聞きたいのは田中社長がどういうふうに認識されているのかということなので。 田中社長:はい。ありがとうございます。個別の内容についてのコメントは差し控えさせていただきます。 質問者(12):あと最後にもう1点なんですが、東芝は委員会等設置会社の導入など、経営のチェック体制という意味では先進的というか、優等生というふうに言われたこともあったと思います。なぜ今回そういった、体制面ではしっかりしたものを持っている東芝が、組織的な不適切会計を行ったのか。これも1つの大きな疑問なんですが、体制的にはしっかりしたものがあっても、なぜこういった事態になったのか。この点についてはどういうふうに。これも報告書には書かれてるんですが、田中社長ご自身がどう考えてるのかということをお伺いしたいんですけど。 田中社長:私自身がですか。いや、報告書の内容を真摯に受け止めたいと思います。 質問者(12):では室町さん、お答えいただけますか。 室町会長:報告書の中にも記載されておりますけども、委員会設置会社としてガバナンス体制、内部統制、監査委員会体制、それぞれきちんとした組織を持っていながらこういう事態が起きたということに対しては、それぞれの取締役会、コーポレート側、カンパニー側、監査委員会、あるいは経営監査組織、こういったもののその内部統制が不十分なところがあったのではなかろうかというふうに考えてございまして、この辺のことにつきましても今後、可及的速やかに実現可能な対策を速やかに打っていきたいというふうに考えてございます。 司会者:よろしいですか。それでは今上げてらっしゃる方で、一番右の奥かな。さっきの方。 質問者(13):ニッポン放送のハタナカと申します。まず1つは確認なんですけども、先ほど処分が出された役員の方々で、そのほかの方々はまた今後というお話でしたけど、その中で西田直人専務については現状のままということでよろしいんでしょうかと。これが1点です。 それからこれは田中社長に伺います。先ほどの企業風土の話にも関連するんですけれども、東芝の社内には社内抗争ですとか、あるいは経営陣の中での確執というものが漏れ伝わってきております。これは調査報告書の中には特に言及はありませんけれども、こういったことが実際にあったのかどうか、社長の肌で感じたところをちょっとお聞かせいただきたい。で、もしあったとすれば、今回の一連の問題の1つの背景の1つになったんではないのかどうかと。その辺りの思いを聞かせてください。 室町会長:まずご質問の西田直人専務でございますけれども、西田直人専務の分担というのは、技術そして生産関係という分野を歴任しておりまして、今回の不適切な会計処理に関しては一切関与がございません。そういった意味では責任はないんでありますけども、いち取締役でございますから、私と同様に全体的な取締役の責任の中で、例えば報酬返上だとかということは考えなくちゃいけないのかなというふうに考えてございます。取締役につきましては、9月の体制についてはいろいろ、社内の取締役を減らさなくちゃいけないということもございますから、そういったことでどういう体制になるのかというのは別途考えたいというふうに思っています。 田中社長:はい。2点目については私のほうからお答えさせていただきます。風土として、社内抗争というものが背景にあったんではなかろうかという、そういうご質問だと思います。さまざまな報道でそういったことが報道されてることは承知をしておりますが、私自身はそういう認識はまったくありません。 司会者:よろしいですか。それじゃあそちらの女性の方。 質問者(14):日本テレビ、アンドウと申します。よろしくお願いします。やはり従業員の方を思ってということで、先ほどおっしゃってたんですけれども、いろんな質問に第三者委員会の報告に書いてあるとおりというお答えがあって、そのたぶん全部をひっくるめてご自身が責任を取ることが会社のため、従業員のためと思ってらっしゃってあまり細かくおっしゃらないのかなとは思うんですけれども、直接指示を、不正を指示した覚えはないということは先ほどおっしゃっていただいたんですが、利益をかさ上げするためにキャリーオーバーが行われていたことを、田中社長自身も2013年8月、あるいは2014年3月ごろには認識していたということが報告書に書いてあります。あまり細かくぐだぐだ言い訳をしないというあれなのかもしれないんですが、逆に報告書に書いてありますと言われてしまうと、誠実じゃないという、誠実に答えてらっしゃらないという印象も受けて、従業員の方々も含めて納得しない方がいらっしゃると思うので、ぜひちょっと教えていただきたいのですが、その利益をかさ上げするために損失の先送りも含めた不正会計がされていたことを、田中社長はご存じだったんでしょうか。認識していらっしゃったんでしょうか。 田中社長:まず第1点目のお話は、本日をもって辞任をすると、これはもちろんわれわれの大切な仲間である20万人の従業員のみならず、株主さま、そして投資家の皆さん、そして全てのステークホルダーの皆さまに対する今回の当社の不適切な会計処理が行われていたと。その経営責任という意味で辞任をさせていただくと。一刻も早く新しい体制で次の一歩を踏み出すためということでございます。従いまして、もちろん仲間である20万人、大変重要ですけども、従業員だけという意識ではございません。 それから2点目。調査報告書の中でも利益の先送り、あるいはかさ上げという表示がございます。私自身、不適切な会計処理がされていたというふうには認識をしておりませんでしたが、その点を含めまして、今後、第三者委員会の報告書を精査させていただき、そして内容についてきちんと、認識が間違っているんであれば改めたいというふうに思っております。以上でございます。 司会者:よろしいですか。それでは、その後ろの男性の方。列の。 質問者(15):時事通信のヨツタニと申します。先ほどの「チャレンジ」のところなんですけども、必達目標値と言い換えてもいいかと思うんですが、各四半期末が近づいて、多額の収益改善を図ることが困難となってからも「チャレンジ」が示されたと、このように報告書にあるんですけれども、これが事実であるならば、どうしてこういうことをされたのか、教えてください。 田中社長:少なくとも私は2013年の6月25日以降、あるいは2013年度、および2014年度の予算、そして月次報告を受けたあとの必達目標値といいますか、については過大な要求といいますか、したという認識はありません。2013年度以降の予算の組み方というものですけど、努力をしてもできないようなレベルであれば、それは必達目標として要請することは適切ではないという認識はあります。従いまして、個別の内容についてのお答えは控えさせていただきますけども、月末あるいは期末の必達目標値の要請については、それぞれきちんとした理由があり、かつ実現可能なレベルで各カンパニーに要請といいますかしていたと認識をしております。以上でございます。 司会者:よろしいですか。それでは真ん中の女性の方。