【全文】東芝・田中社長「直接的な指示をした認識ない」 不適切会計で会見
部下に「うそをつけ、ごまかせ」と命じた自覚は?
質問者(6):朝日新聞のカミグリです。よろしくお願いします。田中さんに2点、室町さんに2点伺いたいんですけれども、まず田中さんに今回報告書では、先ほど田中さん認識とか知識の部分に問題があったとおっしゃったんですけども、報告書では業績への悪影響を避けるために田中さんが不正な決算を意図的に見逃していた、容認していたというような表現があるんですけれども、このような指摘について、田中さんそのとおりだとお考えなのか、それは違うとお考えなのかということを教えてくださいというのがまず1点目です。 田中社長:第三者委員会の調査報告の中に「許容していた」という表現がある、その点だと思いますけれど、その点につきましても、含めた第三者委員会の報告書を真摯に受け止め、今後の対応に生かしていく、あるいは経営刷新委員会でのさまざまな再発防止等を含めた中に対策等を図っていくというふうに思っております。 質問者(6):報告書は、今回のその不適切な会計処理の額が、佐々木前社長の時代に拡大したという指摘もしています。後任の社長としてそういう事態を引き起こした佐々木前社長に対して、どのようにお考えかということを教えてください。 田中社長:特に何も思っておりません。 質問者(6):室町さんにすいません。今回、取締役の方々が問題の一部を認識していたと。かつ、その問題を認識していた幹部については懲戒処分を含めた人事上の措置が必要であるというふうに報告書は指摘していますが、まず室町さんは今回のその一連の不適切な会計処理について、ご存じなかったということでよろしいんでしょうか。 室町会長:私自身としては、今回の不適切会計につきましては、調査報告書の中にも名前の記載もございませんし、関与もしてないというふうに考えております。ただ、取締役会長としては当然、資本市場、株主さまはじめとするステークホルダーの皆さま方に大変なご迷惑、ご心配をお掛けし、心からおわびを申し上げたいと存じます。 質問者(6):最後に。社長に就かれるわけですけれども、9月以降の新体制で社長を続けられる、あるいは取締役に残られるということがあり得るのかどうかについてお聞かせください。そういうお考えがあるかどうかもお聞かせください。 室町会長:現在のところまったく白紙でございます。これから先ほど申し上げましたように、経営刷新委員会の外部の専門家の皆さま、そして弊社の社外取締役の皆さま方等のご意見を受けながら、新しい経営体制をどうするかということを、指命委員会とともに議論していきたいというふうに思ってます。 司会者:よろしいですか。はい。じゃあ前列のブルーのシャツの方。 司会者:ブルーのシャツの方。 質問者(7):日本経済新聞のイトウと言います。今日はありがとうございます。田中さんにお伺いしたいんですけども、従来から今回の経営責任については、9月の株主総会までに判断して、経営陣を刷新するというご説明だったと思うんですけども、それが今日付で辞任されるという決断に至ったのはなぜなのかというのが1点。一部で、社外取締役の方からは、想像以上に厳しい内容の報告書が出てきたと。で、そこで辞意を決断されたのかどうか。その点を教えてください。 田中社長:9月末まで前回、6月25日の株主総会で信任をいただきました。従いまして、その時点でも株主の皆さまに申し上げましたように、あくまでも暫定的な選任をいただいたわけですから、最も長くて9月末というふうに申し上げました。今回、本日をもって、先ほど申し上げましたように、取締役および代表執行役社長を辞任するに至ったことは、一刻も早く新しい体制で先ほどもご指摘いただきましたように、大きく毀損した東芝のブランドおよび最も私が重要だと思っておりますのは、20万人の従業員です。 日々、業務に誠実に対応している従業員に、一刻も早くきちんとしたけじめを示し、そして新たな気持ちでさらに今まで以上の業務に精励をしていただきたいという思いから、昨日、第三者委員会の報告書を受け取ったことを踏まえて、本日、辞任をさせていただきました。 質問者(7):すいません。もう1点いいですか。新しい経営陣のイメージなんですけれども、株主総会でも質問出たと思うんですけども、東芝さんの社長の任期、通例4年で規模に比べて若干短いのではないかと。もう少し長くやらせたほうがいいのではないかという意見もあります。また、その経営陣の顔ぶれについて、若返りを図っていくのか、あるいは一部報道でもありましたけども、外部から取締役会の議長を招く考えがあるのかどうか。その点を教えてください。 田中社長:先ほども申し上げましたように、今のところそのご質問の点につきましてはまったく白紙でございまして、今後、外部の方々を忠心とした専門家、あるいは指命委員会等で議論を重ねていきたいというふうに思っております。社長の人気につきましては、従来、4年というのが普通でございましたけども、これも毎年、毎年、指命委員会で社長を選任いたしますので、必ずしも4年ということが決まってるわけではございません。ケース・バイ・ケースだというふうに考えております。 司会者:よろしいですか。前の、座ってらっしゃる眼鏡の男性の方。はい。 質問者(8):すいません、日経ビジネスのオオニシと申します。第三者委員会の報告書から読み取れるのは、現場の暴走を管理不行き届きで見つけられなかったという記載ではなく、不正会計そのものに経営陣が関与したと、関与があったというふうに読み取れるんですが、だとすれば田中社長ご自身が部下に対してうそをつけ、ごまかせということを命じたという自覚はおありではありませんか。 田中社長:ございません。 質問者(8):もう1つ、経営陣の関与があった、あとプレッシャーという言葉も出てきますけれども、田中社長が逆に西田さんや佐々木さんからプレッシャーを受けていたと、利益を上げろというプレッシャーを受けていたということはありませんか。 田中社長:特にございません。 質問者(8):ありませんか。 田中社長:はい。 質問者(8):では報告書で書いてある、経営陣の関与があったというのは、どこを指して関与があったと。 田中社長:いや、それについては第三者委員会の報告書をご覧いただきたいと思います。 質問者(8):分かりました。 司会者:よろしいですか。それでは前列の黒い、こちらの方。 質問者(9):ニコニコ動画の七尾と申します。どうぞよろしくお願いします。投資家についてなんですけれども、投資家は企業が公表した決算とか、有価証券報告書が正しいことを前提に株式などの売買を行います。今回発覚した損失の先送りなどによる金額の記載によりまして、投資家の行動に与えた影響について、影響があったのか、なかったのかという点についてどうお考えでしょうか。よろしくお願いします。 前田専務:はい。今回の不適切な会計に基づいて投資家の方のご判断を謝らせた可能性があるという点につきましては真摯に受け止めてございます。現在、第三者委員会の調査報告を受けまして、より適切な会計処理に向けた意識の向上、ならびに教育の徹底、あるいはカンパニー内での独自の監査部門の設置等による内部統制の強化、あるいは報告にご指摘いただいております、当期利益主義の是正等につきまして真摯に見直し、改善を図っていくということでございます。これによりまして再発防止に取り組んでいき、投資家さまのご信頼の回復に向けて精いっぱい努力してまいりたいと、かように考えている次第でございます。 質問者(9):社長にもう1点だけ、よろしくお願いします。先ほど第三者委員会の報告によりますと、チャレンジと称して歴代の3社長が月例の報告で不適切な会計報告を部下にさせていたという、やはり表現があります。で、田中社長は今おっしゃったように、自分は関与していないと。そういうことではあるんですが、例えば長期的に先代、あるいは先々代を含めて、そういった不適切な会計をせざるを得なかった、その風土があったんじゃないかという指摘もあるわけです。上司に逆らうことができない風土があったと報告されてます。この点について社員に、現時点で社員の方に対して何かお言葉があれば、ぜひお聞かせいただきたいんですけど。 田中社長:先ほども申し上げましたように一般の従業員にはまったく罪はないと思っております。経営陣そして幹部、あるいは管理者がきちんと襟を正さなければいけない。その中で最も重要なのは経営トップ、経営幹部だというふうに思っております。先ほど申し上げましたけど、私としてはそういう不適切な会計処理を指示したという認識はありませんが、そのように現実にご指摘いただいてる部分もあろうかと思っておりますので、その点については次の経営陣、そして管理者を含めた今後の再発防止、あるいは経営のやり方に反映をさせなければいけないんじゃないかというふうに思っております。 長期的に、先ほどおっしゃられましたけれども、経営幹部あるいは管理者を含めた全員が、管理者以上といいますか、今回のことを契機に、第三者委員会の報告書にご指摘いただいてるようなさまざまな点を真摯に受け止めて、そしてきちんとした対策、そして知識、あるいは意識を含めた点も変革をしていかなければいけないというふうに思っております。ありがとうございます。 司会者:よろしいでしょうか。では前列のそちらの方。 質問者(10):ありがとうございます。特に室町さんにお聞きします。サークルクロスコーポレーション、若林でございます。風土についてなんですが、私の知ってる昔の東芝は、まさにそのNANDフラッシュにしてもワープロにしても、いい風土があったからそういうのが生まれたと思うんですね。この風土はいつから悪くなってきたと。今のような、指摘があるような悪い風土になってきたのかについてお伺いします。 それから、それに絡んでなんですが、今回、第三者報告書の対象外の期間、例えば2000年辺りだとか2004、05年だとか、あるいはそのセグメントでも、今回、工事進行基準と半導体のディスクリートとLSIと、テレビとパソコンなんですが、例えばヘルスケアだとかについては、これはもう大丈夫だという判断でいいのか、あるいはそういう、今回指摘された以外のセグメントにおいては、風土とかそういうプレッシャーはなかったという理解でいいのか。以上お願いします。 室町会長:風土がいつから変わってきたのかというご質問でございますけれども、非常に難しいご質問でございまして、私としてはいつから変わったかということについて、今、正確なお答えをするというのはちょっと控えさせていただきたいと思います。いずれにしても、経営刷新委員会の中では企業風土の醸成というのも新たに課題として残っておりますので、専門家の皆さま方のご意見を聞きながら、適切な対応をしていきたいというふうに思っております。 田中社長:2点目は私のほうからお答えさせていただきます。ご存じのとおり、今回、工事進行基準案件の関係書類の適切性について端を発したわけですけども、特別調査委員会の調査をしている中でそれ以外の懸念事項が出てきた。その中で3つの案件について、第三者委員会に委嘱をして調査をしていただいたと。それとは別に当社独自の585社、海外も含めた全ての連結対象子会社を対象にした、いわゆるセルフチェックというものを徹底的に行いました。会計処理の不適正、あるいは懸念等があれば、全てきちんと申告するようにと。誓約書も取って、585社の社長から私宛てに提出をさせました。その中で軽微なものも含めて、もうすでに、手短にしておりますけども、いくつかの不適切と思われる会計処理等が判明したのも事実です。 ただ、それらにつきましては、先ほど申し上げましたように、さまざまなケースと言いますか事案がありますけども、いずれも規模あるいは内容について、単純な経理処理のミスを含めまして、そういったものを全て網羅的にチェックをした結果でございますので、585社のセルフチェックというものが私は信頼をしておりますし、網羅的に調査をさせていただいた。それを今回全て開示をさせていただき、今後そういうことが起こらないような、そういった対策も含めてきちんと取ってまいりたいと、いうふうに思っております。 質問者(10):その期間については、今回、第三者委員会の対象期間が08年度からになっております。もしかしたらそのITバブルの直後ぐらいが一番大変だったと思うので、その辺のところをなぜ対象期間としなかったのかについて教えていただきたいのと、それと同時にさっきの風土がいつから悪くなったかというのにもこれ絡んでくるんですが、やはり単に08年度以降の話をするんではなくて、もう少しさかのぼって、あるいは昔から、創業来から風土が悪かったとは思いませんけども、やっぱりいつぐらいから悪くなったのかというとこまで、原因を究明しないといけないんじゃないかと思うんですが、それについても教えてください。 前田専務:今回、有価証券の、有価証券報告書の訂正期間ということでは、過年度は5年ということでございます。私共、今ご指摘ございました、よい企業風土を昔は持っていたとご指摘いただいてございますけども、そういうような企業風土につきましては、今、現状、企業風土について若干の問題があるというふうに第三者委員会は指摘いただいてございます。この点につきまして、今後、経営刷新委員会等々で改善をはかるということでございますので、昔の10年前、あるいはおっしゃられた20年前について、特に大きな問題があるということではないというふうに考えているということでございます。 質問者(10):ありがとうございます。 田中社長:追加でご説明させて。一方いわゆる会計処理のやり方といいますかルールといいますか、あるいは適用の仕方も、昔と比べると変わってきてます。工事進行基準案件1つを取っても10年前のルールといいますか、それと最近のルール、あるいはその適正性についてもかなり変わってきてると。そういったものをいかに最新のルール、あるいは解釈を適用して適正な会計処理が行えるようにするかという点についても、今回われわれ認識しておりますので、きちんと対応してまいりたいというふうに思っております。 司会者:よろしいですか。それではそちらの、うしろの男性の方、すいません。ええ、そちらの。