【全文】東芝・田中社長「直接的な指示をした認識ない」 不適切会計で会見
東芝の不適切会計問題で、同社の田中久雄社長が21日夕、記者会見し、「かかる事態を生じさせたことを厳粛に受け止め、株主をはじめとするすべてのステークホルダーに心よりお詫び申し上げる」と謝罪した。 【アーカイブ動画】不適切会計で東芝・田中久雄社長が会見 会見は第三者委員会の調査報告書を受けて行なわれた。同報告書では、不適切会計について、西田厚聡元社長や佐々木前社長ら歴代社長が「チャレンジ」といわれる厳しい利益目標の達成を求めるなど「経営トップを含めた組織的な関与があった」と指摘。背景に、当期利益至上主義、目標必達のプレッシャーなどがあったとした。 以下はその会見全文。
経営責任を明らかにするため社長を辞任する
司会者:ただ今より、第三者委員会の調査報告に関します、当社の対応につきまして、ご説明を始めさせていただきます。本日当社側の出席者をご紹介申し上げます。取締役会長、室町正志でございます。取締役代表執行役社長、田中久雄でございます。取締役代表執行役専務、前田恵造でございます。申し遅れましたが、進行を務めます、広報・IR室、司会者でございます。 それではまず、田中よりご説明を始めさせていただきます。 田中社長:田中でございます。昨日、7月20日、17時30分過ぎに第三者委員会から当社の会計処理問題についての調査報告書を受領いたしました。第三者委員会からは、2008年度から2014年度、第3四半期の間において、税引き前損益ベースで1,500億円を超える修正が必要とのご指摘を受けました。また、今回の会計処理に関わる問題を、生じさせた原因として経営幹部らの関与等に基づき、組織的に実行されたとのご指摘を受け、経営における適切な会計処理に向けた意識、知識の欠如、当期利益至上主義、目標必達のプレッシャーなどが認定されました。かかる事態を生じさせたことを厳粛に受け止め、株主の皆さまをはじめ全てのステークホルダーの皆さまに対し、心よりお詫びを申し上げます。 本件に対する重大な責任は、私をはじめとする経営陣にあり、第三者委員会からのご指摘を厳粛に受け止め、私はその経営責任を明らかにするため、本日をもって取締役、および代表執行役社長を辞任いたします。私の後任は暫定措置として取締役会長の室町正志が兼任することとなります。私は辞任いたしますが、会社として新たな体制を早期に構築し、信頼回復に向けて全力を尽くしてまいりますので、引き続き当社へのご支援を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。 司会者:それでは続きまして、室町から今後の対応等についてご説明を申し上げます。お願いいたします。 室町会長:室町でございます。着席をさせてお話をさせていただきたいと存じます。まず、取締役会長といたしまして、今回の、かかる事態を招いたことを真摯に受け止め、あらためて株主の皆さまをはじめとする全てのステークホルダーの皆さまに対しまして、心よりお詫びを申し上げます。 それでは、関係者の進退についてご説明を申し上げます。今回の一連の事案は過去からの経営陣の下、行われていたとのご指摘を受けておりますことに対しまして、歴代の社長である、現相談役の西田厚聰、現取締役副会長の佐々木則夫につきましては、本日をもってその職を辞任いたします。また、関連をした経営トップとして、取締役代表執行役副社長の下光秀二郎、同・深串方彦、同・小林清志、同・真崎俊雄、取締役監査委員会委員長の久保誠が、全ての役職について本日をもって辞任をすることといたしました。 また、取締役代表執行役専務の前田恵造が取締役および代表執行役の役職について、同じく本日をもって辞任をすることといたしました。なお執行役上席常務の牛尾文昭が代表執行役に就任し、日常の業務行為を遂行することを、本日の取締役会で決議をいたしました。また、同取締役会の決議をもって、取締役の伊丹敬之を監査委員会委員に選定するとともに、同氏を監査委員会委員長に選任をいたしました。その他、役員等の経営責任などにつきましては責任を明らかにした上で、別途厳正な処分を決定いたします。 続いて、再発防止策についてご説明を申し上げます。当社は第三者委員会設置後、今後の経営体制、ガバナンス体制、および再発防止策等について、当社としての検討を続けてまいりました。今般、第三者委員会の報告を踏まえて、今後の経営体制、ガバナンス体制、再発防止策党等について、社外取締役4人が、社外専門家の助言を受けつつ、集中的に検討し、その結果を8月中旬に公表予定の新経営体制に反映させるとともに、9月開催予定の臨時株主総会におきまして、株主の皆さまから信任を受けた新経営体制の下で、可能な限り速やかに再発防止策を確定させて、着実に実施をしていくため、経営刷新委員会を設置をすることを、本日決定いたしました。 本委員会は、社外取締役4名および社外専門家のみから構成される委員会とし、委員となる社外専門家は今月中に決定する予定でございます。社外専門家および経営刷新委員会の委員長につきましては選定次第、別途お知らせをしたいと存じます。 第三者委員会の調査報告によりますと、今回の不適切な会計処理の発生原因につきましては、経営トップによる関与等が指摘されております。また、調査報告書においては、再発防止策として、経営トップ等の意識改革に加え、強力な内部統制部門の新設、取締役会や監査委員会による監査機能の強化や社内取締役の増員、および構成員の見直し等、監督体制の強化についても提言をいただいております。 これらを踏まえて、繰り返しになりますけども、当社はまず本日の取締役会において、監査委員会委員長に社外取締役の伊丹敬之を選定をいたしました。今後、経営刷新委員会におきましては指命委員会とも共同して、今後の新経営体制に加え、ガバナンス体制について、取締役会の過半数を社外取締役とすること等を含めて、慎重かつ迅速にご検討いたします。また内部統制システム、およびコンプライアンス体制の抜本的な見直しを含む再発防止策の具体的な内容を検討してまいります。今後、新たな体制の下で再発防止を徹底し、企業風土を刷新することでステークホルダーの皆さま、および社外からの信頼回復を目指し、尽力してまいる所存でございますので、何とぞご理解をいただきまして、引き続きご支援賜りたく、よろしくお願い申し上げます。 私からは以上でございます。 司会者:私どもからのご説明は以上でございます。このあと、ご質問をお受けしたいと思います。挙手いただきまして、私がご指名をさせていただきましたら係の者がマイクをお持ちいたしますので、よろしくお願いをいたします。 一番前のそちらの方。