名スカウトのドラフト採点「成否ムラのない平均ドラフト。あえて90点と60点の球団を指摘するのなら阪神と西武だ」
一方、数年後を見据えた未来型として評価したのは、ソフトバンク、オリックス、巨人の3球団だ。佐藤を外したソフトバンクは、1位の大型スラッガー、井上朋也(花咲徳栄)から叔父が球団OBの5位の田上奏大(履正社高)まで5人全員が高校生。オリックスは1位から3位を含めて6人中4人が高校生。最下位のオリックスが取った今ドラフトの方針には賛否が分かれるが、片岡氏は、こう評価する。 「オリックスは新型コロナ禍の影響で資金を節約したいという思惑もあったのかもしれないが、中嶋監督のもとで2、3年かけてチームを刷新しようという決意を見せた。目先だけを考えて社会人や大学生を中途半端に揃えても尻すぼみになると考えたのだろう。1位の189センチの山下舜平大(福岡大大濠高)は10かゼロかの大型投手。ストレートとカーブしかあえて投げていないそうだが、時間をかけて化けさせたい。2位の元謙太(中京高)、3位の来田涼斗(明石商高)は将来、軸になる可能性のある外野手。思い切ったドラフトとして評価していい」 ソフトバンク、巨人も狙いが見える。 「野手がくたびれてきているソフトバンクも高校生野手を中心にしたドラフトを行った。育成の力が試される。10回連続でクジを外した巨人の1、2位は大学生だが、1位の平内龍太(亜細亜大)は故障明けで、東海大出身の原監督枠とも言える山崎伊織も手術明けで来年は間に合わない。それでも将来性を買ったのだろう。5位の2メートルの長身の”二刀流”秋広優人(二松学舎大付属高)も期待枠。育成部門になると会場に阿部慎之助2軍監督が出てきて12人も獲得した。巨人も先を見た育成ドラフトと言っていいのかもしれない」 地元優先型ドラフトとして評価したのは中日と日ハムだ。 日ハムは1位で伊藤大海(苫小牧駒大)を単独指名。中日も甲子園で活躍、最速154キロを投げる地元、中京大中京高の高橋宏斗を1本釣りし、2位で豊川高出身の森博人(日体大)、5位で帝京大可児高の加藤翼を指名して地元枠で固めた。 「栗山監督が“やっと北海道からこういう投手が出てきた“とコメントしていたが、同じくらいの力なら地元優先の方針を貫いている。大学ジャパンでクローザーを務めた伊藤を1位で押さえ、2位の五十幡亮汰(中央大)は、中学時代にサニブランに勝ったことで有名になった一芸の外野手。今の野球界の流れに沿った人選だ。中日も地元の高橋を単独で指名できたのは大きい。昨年3球団が競合した奥川(ヤクルト)クラス。意外と出てくるのは早いかもしれない。地元選手で固め6人中4人が高校生。育成方針も見える」