特捜検事「逮捕待ったほうが」上司に進言 無罪確定のプレサンス元社長・国賠訴訟
学校法人をめぐる業務上横領事件で大阪地検特捜部が逮捕・起訴し、裁判で無罪が確定した不動産会社「プレサンスコーポレーション」の山岸忍・元社長(61)が違法捜査を訴え、国に8億円近くの賠償を求めている訴訟で、事件を担当した特捜検事の1人が山岸氏の逮捕前、主任検事に「逮捕は待ったほうがいい」と進言していたことが、国側が提出した書面で分かった。 原告側代理人によると、捜査を担当した検事4人の証人尋問が6月に大阪地裁で予定。それに先立ち、4人が陳述書を提出していた。 陳述書によると、この検事は、別の不動産会社役員=業務上横領罪で有罪判決=の取り調べを担当。役員は一時山岸氏の関与を認める供述をしたが、山岸氏が逮捕された当日の取り調べではその供述を翻した。 この検事は、山岸氏を逮捕する方針であることを知っていたため、「撤回後の役員の供述は不自然かつ不合理」と考えつつも、信用性をより慎重に検討するために「山岸氏の逮捕は待ったほうがいいと思います」と上司の主任検事に進言したという。 主任検事は、進言について「覚えていないが、そのように説明しているのであれば否定しない」とした上で、「全体的な証拠関係から総合的に判断すれば、役員が供述を撤回しても山岸氏の嫌疑が十分に認められると考え、逮捕に踏み切った」と説明している。