世界最悪の大気汚染に見舞われるデリー、スモッグで「目の前が見えない」 インド
「目に唐辛子が入っているよう」
世界の大気質を追跡している「IQエア」によると、デリーの一部地域では今週、大気質指数が1750を超えた。300を上回ると健康に有害とされている。 20日には、極小で危険な汚染物質であるPM2.5の数値が、世界保健機関(WHO)の定める安全水準の77倍以上になった。 CNNが過去1週間でデリーの住民10人ほどに取材をしたところ、大半が大気汚染のせいで呼吸困難に陥ったと答えた。有毒な空気で目が焼けるような感覚で、のどはかゆく、息苦しいと訴える人もいた。 市内で長年運転手をしているモハメド・イブラヒムさんは「目に唐辛子が入っているような感じがする」と語り、大気汚染の中、終日屋外で働いているため肺が常に痛いと訴える。 「夜帰宅して手と顔を洗うと、鼻から黒いものが出る。以前はそんなことはなかった」(イブラヒムさん) 先の診療所のアミット・ジンダル医師は、汚染レベルが急上昇して以降、胸部や肺の問題を抱える患者が著しく増加していると話す。同氏は、この増加がスモッグと直接関係していることを確認した。 バトラ病院の呼吸器科医ガウラブ・ジェイン医師は、非喫煙者でさえ慢性閉塞性肺疾患(COPD)を発症していると語る。これは気流を抑制し呼吸障害を引き起こす肺疾患だ。 同氏によると、慢性的に汚染物質を吸い込んでいたり、ほこりの多い場所で働いていたりするとCOPDを発症する。普通の人々に比べてはるかに若い年齢で息切れを起こし、肺がんのリスクが高まるという。 カジャルさんは診療所で、呼吸や歩行に苦労するほど悪化している父親の健康状態を心配している。カジャルさんは怒っているが、怒っても問題は解決しないと言う。 「政府は対処する必要がある」