複雑な過去を持つ子とどう向き合う?独身で養子迎えた韓国人の彼女が「親として」心がけたこと
「非婚(=結婚しない生き方)」を選んだ韓国の編集者ペク・ジソンさんは、2人の子どもと養子縁組をして家族になりました。長女を迎えて3年後、人見知り絶頂期に迎えた次女の子育てで心掛けたこととは。ジソンさん著『結婚も出産もせず親になりました』より紹介します。 ■養子縁組が決まる前に引き取る? 家庭裁判所では、養子縁組の可否の判断を他の案件より早めに進行するという。それでも、2013年のはじめに次女の養子縁組を申請して、許可が下りたのは10月末だった。
赤ちゃんの人見知りは6カ月前後で始まって、12カ月を過ぎると緩和されていく。つまり、わたしは次女を生後10カ月という人見知りがいちばん激しい時期に引き取ることになったのだ。まったく人見知りのない3カ月の長女を育てたときとはまるで違う経験だった。 養子縁組機関もこの問題を認識していて、裁判所の許可が下りる前に里親として子どもを引き取ってはどうかとすすめられた。ちゃんと子どもを育てられることを証明すれば、裁判所の審査にも有利になるという。でも、必ず養子縁組の許可が下りるとはかぎらない。
すでに養子をひとり迎えている点は評価されそうだけど、判事はわたしが非婚であることを問題視するかもしれない。独身女性が子どもを2人も育てるのは難しいと判断される恐れもある。 わが家で数カ月育てた後にもし許可が下りなかったら、また養育環境が変わる赤ちゃんが受けるショックは大きいだろう。だから養子縁組が確定するまでは、もともとの里親家庭で引き続き育ててもらうことにした。 このような〝養子縁組を前提とした子どもの引き取り〞は、2020年のジョンインちゃん事件(*1)発生以降、「養子縁組ショッピング」という言葉で非難されるようになった(*2)。ただし、これはわたしが経験したこととは意味合いがまったく違う。
当時、養子縁組機関の社会福祉士は子どもの人見知りと新しい環境への適応を心配して、生後5~6カ月のうちにまず引き取って育ててはどうかとアドバイスしてくれたのだ。実際にそうできていたら、養子縁組後に次女とわたしが大変な苦労をすることもなかっただろう。 ■新しい環境を拒否した次女 家庭裁判所の許可が下りると、怒涛の日々が始まった。次女は一夜にして養育者が変わったことをとても不安がり、ひきつけを起こしたように震えながら大泣きした。