大人に反発しトイレで泣いた黄金期を経て──「ファン愛」とともに歩む、後藤真希36歳のいま
ミレニアム前後は、まさに「モーニング娘。」の黄金期。“エース格”として活躍した後藤真希は、加入当時中学2年生だった。“モー娘。”人気を社会現象にまで押し上げた「10年に一人の逸材」は、現在36歳。結婚・出産を経た今も、タレント・YouTuberとして安定的な人気を保ち続ける。その秘訣は、ファンとの距離感、一体感だ。「老後は、ファンのみんなと一緒の老人ホームに入ったら楽しそう!(笑)」。デビューから20年以上をかけて積み上げた、ファンとの特別な信頼関係について語った。(取材・文:山野井春絵/撮影:木村哲夫/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
あっという間に36歳
華奢な体に、キメの整った白い肌。 後藤真希は、30代の半ばを折り返したとは思えない透明感を放っていた。 「いやあ、もう36歳ですよ。あっという間!」 あっけらかんと笑いながら、後藤は小麦色だったデビュー当時を振り返る。 「オーディションを受けたのは、中2の夏休み。あの頃は、雑誌『egg』に影響されてギャルを目指してたので、もう、干からびるくらい肌を焼いてましたね。茶髪に、メッシュ入れたりとか。夏休みパワーで“自分的レボリューション”している間に合格して、それから、激動の生活が始まって……」
見た目こそ派手なギャルだが、中身はいたって普通の中学生。勉強も好きだった。厳しかった門限をきちんと守り、家の手伝いをしながら、塾にも通っていた。 「週に2日ずつ洗い物当番があって、きょうだいで回してましたね。同居していたおばあちゃんをお風呂に入れたりとか、それが普通の生活でした。学校も、楽しかったですね。テストも嫌いじゃなかった。ただ、先生とか、先輩とかには『負けてらんない』とか、そんな気の強さがありました」 夏休みが終わった頃には、世界は一変していた。モーニング娘。は、「10年に一度の逸材」と言われた後藤の加入により、あれよあれよとその名を轟かせ、社会現象となる。後藤は日本一忙しいアイドルとして日々を駆け抜けていった。 「もう、めちゃ忙しかったですね。半年間、オフが1日もないとか。とにかく睡眠時間もない、食事も満足にとれず、衝撃の連続でした。はじめの3週間で体重が7キロ落ちて……。しかもどこにでも密着のカメラがついてきて、泣いている姿すら押さえられてしまうから、泣けないんですよ。だから本気で泣きたい時はトイレに篭ったりして、そんな感じでしたね」。当時は大人達に何とも言えない違和感を感じていたという。