スティーブ・ジョブズも愛用していた「BIRKENSTOCK(ビルケンシュトック)」の揺るぎない定番サンダル
人々の自然な歩行を促し、足の健康を守ることを目指してフットウェアを生み出しているグローバル・ブランド「BIRKENSTOCK(ビルケンシュトック)」。 1774年まで靴づくりのルーツを遡ることができる、伝統あるドイツのブランドだ。今回はブランドの歴史をはじめ、数多くある名品の中から、1足は持っておきたい“これぞ定番”というアイテムを紹介しよう。
250年の伝統あるビルケンシュトック一族の靴作り
ヨハネス・ビルケンシュトック氏が靴職人として公文書に記されたのはいまから250年前の1774年。代々靴職人としての営みを続けてきたが、近年のBIRKENSTOCKに近づくきっかけとなるのは1902年、コンラッド・ビルケンシュトックという人物が、革新的な足の健康補助具となる初の柔軟性のあるインソールを初めて発明したことによる。 その柔軟性のあるインソールは「フットベッド」と呼ばれ、そこからさらに時は流れて1963年、コンラッド氏の孫にあたる「カール・ビルケンシュトック」氏が、BIRKENSTOCKの最初のサンダル「MADRID(マドリッド)」を発売する。
靴に革命を起こした「フットベッド」
コンラッド氏は世界で初めて柔軟な(当時は固い金属や木が主流)インソールを発明する。それにより、靴の中でもかかとから爪先までのローリングが可能になる。つまり、靴を履いていても自然な歩行を再現することに成功する。 当初、柔軟なインソールは厚紙と革の混合素材で作られていたが、ある段階で、はじめてコルク素材を加えることに挑戦した。しかし、当時は軽量なコルクは、後に結合剤として採用された天然ゴムがないと十分に曲げることができず、まだ主要な素材として使用することはできなかった。そんななかでも試行錯誤を繰り返し、コルクと天然ゴムの混合物を使い「フットベッド」は完成する。
第1次世界大戦中、コンラッド氏はフランクフルト・アム・マインのフリードリヒスハイム病院で整形外科用装具の製作に従事し、足の欠陥とその治療法を集中的に研究することになる。 彼は医療で使われている金属製のインソールよりも、柔軟性のある自らが生み出したインソールの方が足の病気を治すのに適しているという結論に至った。 この経験を経てより健康という側面を持った「フットベッド」は現代へと繋がっていく。「フットベッド」は発売当初からほとんど変わっておらず、天然コルク、通気性に優れた2枚の麻、スエードの4層構造になっており、可塑性、弾力性、柔軟性に優れた履き心地のものとなっている。