ゴールド(金)に投資して、長期的に資産を形成する2つの方法(海外)
インフレヘッジとしてのゴールド
「インフレーション、通貨の切り下げ、差し迫った景気後退などといった困難が生じた場合、購買力を維持する目的で、安全な資産となるコモディティに対する需要が高まることが多い」とパトリック氏は語る。 ゴールドの現物は、そうした「安全資産」のひとつである。インフレーションがドルの購買力をむしばみ、物価が上昇するにつれて、金の評価が高まり、市場の低迷から身を守ろうとする人々にとって、魅力的な投資対象となる。 「金価格も変動するのではあるが、ゴールドには実在するモノとしての価値があり、購買力を維持する」とマーティーノ氏は語る。「株価が下がっているときやインフレーションの時期には、金価格が上昇する傾向があるため、ゴールドは安全な投資と呼ばれているが、どの投資にもある程度のリスクはつきものである」 しかし、ゴールドはレバレッジではない。配当金や利息から収入を得ることはできない。金価格が上昇した場合にのみ、現物のゴールドで富を築くことができる。 ネプシス(Nepsis)の認定ファイナンシャルプランナーで、リサーチ部門の上級副社長でもあるチャック・エッツヴァイラー氏は、富を築くための実用的な戦略としてゴールドを買うのはやめたほうがいいと警告する。同氏の考えでは、ゴールドは投資戦略ではなく、むしろ通貨ヘッジとみなすべきものだ。
ゴールドの好調も永遠には続かない
ゴールドは長期的に高く評価されるため、市場の不安定さからくる衝撃を弱める手段を探している者にとっては、魅力的に見える。世界的に需要が持続しているため、ゴールドの価格は長期的に上昇する傾向にある。しかし、米ドルの購買力もそのうち回復するだろうし、景気がよくなれば、最終的には市場がゴールドを上回る可能性もある。 たとえば、S&P500は、誕生した1950年代以来、平均して毎年約10%のリターンを記録してきた。2023年にいたっては、26.3%という目を見張る年間成長率を記録した。対照的に、過去10年におけるゴールドの年間リターンは4.57%、2023年は13.1%だった。 「金投資における最大のリスクは、その機会費用にある」と、パトリック氏は言う。「景気が好調な場合、ゴールドは高利回り株式や市場ファンドほどのパフォーマンスは発揮できない。ゴールドは人気の投資対象で、特に資産の蓄積段階にある投資家に好まれているが、ほかの投資対象と同じで、ゴールドでも過剰な投資は避けたほうがいい」 ※本記事は取材対象者の知識と経験に基づいて投資の選定ポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買をも勧めるものではありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。
Tessa Campbell