コロナ関連融資、「返済に不安」のある企業は13.0%
新型コロナウイルスの感染拡大により業績が悪化した中小企業を支援するため、政府系金融機関と民間金融機関によるコロナ関連融資制度は2020年に始まった。実質無利子・無担保で行われた「ゼロゼロ融資」は、2024年4月には最後の返済ピークを迎える。今後、政府は事業再生や経営改善に政策を転換していくとみられる。しかし、人手不足や物価高が続くなか、マイナス金利政策が解除されるなど、企業を取り巻く事業環境は大きな転換期にさしかかっている。 そこで、帝国データバンクは、新型コロナ関連融資に関する現在の状況や返済見通しなどについて調査を実施した。
新型コロナ関連融資、「未返済」が10.5%、「3割未満」も4割を超える
新型コロナ関連融資について、「借りていない」企業は43.7%だった一方、「現在借りている」企業は41.9%となった。「すでに全額返済」は11.4%となり、2022年2月に調査を開始してから初めて2桁台となった。 新型コロナ関連融資を「現在借りている」企業のうち、2024年2月時点で返済が『3割未満』の企業は41.1%、「未返済や今後返済開始」の企業は10.5%だった。一方で、融資の『5割以上』を返済していたのは29.5%となった。 2023年8月時点と比較すると、『5割以上』返済している企業は4.8ポイント、『3割~5割未満』は2.9ポイント増加していた。一方、「未返済や今後返済開始」は7.1ポイント減少しており、新型コロナ関連融資の返済は着実に進んでいる。 企業からは、 ・「一部返済しているが、今後については借り換えを依頼している」(料理品小売) ・「伴走支援型特別保証に借り換え、返済据え置き期間を延長した」(土木建築サービス) ・「大変助かっている。返済は即翌月から行っており、また実質無利子のゼロゼロ融資を受けており、工事の選別もでき、ここをしのぐことができている。金利の発生時に一括で返済する予定」(冷暖房設備工事) ・「公庫は返済中。銀行分は借り換えし、3年据え置きで返済中である」(すし店) ・「条件変更しなければ、返済が困難になる可能性がある」(中古自動車小売) といった意見が聞かれた。