【社会学者が解説!】数字で見る日本女性の「出産」と「働き方」のこれから
■【育休取得期間の男女差】 ◇大きな差の背景にあるのは賃金格差の問題 育児休業の取得期間は、女性の約95%が6カ月以上で、うち34%が1年~1年半未満。対する男性は、最も多かったのが5日~2週間未満(26.5%)で、5日未満が25%。次いで多かったのが1カ月で24.5%だった。 「これは男女の賃金格差も影響していると思います。今の日本では、どうしても男性のほうが収入が大きいため、男性が育休を取ることで世帯収入が減るリスクを避ける傾向もあると思います。女性の立場をどんどん弱くし、悩みを増やす賃金格差は、すべての問題につながる要因です」 出典/厚生労働省「雇用均等基本調査」 ■【1日の生活時間における、無償労働時間】 女性224分:男性41分 ◇男性側の労働時間の長さが女性側の負担増に直結 無償労働とは、家事育児など対価を得られない労働。「日本はこれでも状況が改善したほうだと思います。結果だけ見ると男女差に驚きますが、実は男性のほうが長時間労働や通勤で家にいる時間自体が短いという現状があるのも事実。すごく好意的にみれば、男の人は家事をしたくてもできない状況なのかもしれない」という永田さんの指摘どおり、日本の男性の有償労働時間の平均は世界で最も長く(452分)、その分、女性の無償労働時間は男性の5.5倍に。 出典/内閣府「男女共同参画白書」(令和2年版)
■【不妊治療を受けた夫婦の数】 1組/4.4組 ◇自分のリズムに合わせて働ける社会がベスト 「妊娠は人工物ではなく生物学的な話ですから、仕事の都合にあわせてタイミングを取るのは難しいもの。たとえば、時短やフレックス、リモートなどの働き方が当たり前の社会になれば、会社ではなく自分のリズムで仕事ができるので両立しやすくなるのでは。不妊治療は頼りになる生殖補助医療ですが、心身への負担が大きいものでもあるので、仕事やキャリアをあきらめなくてすむ柔軟な社会になれば、若いときから自然妊娠を試す時間が持てるケースも増えるのではないかなと感じます」 出典/厚生労働省「令和5年度 不妊治療を受けやすい休暇制度環境整備事業」 「不妊治療と仕事を両立できない」と答えた女性の数……4人に1人以上 ■【“子どもを望まない”若年女性の割合】 年収300万円以上の女性 27.9%以上 ◇専業主夫など新しい家族のあり方につながるかも 若年女性全体で見ると51.1%だが、年収300万円以上にしぼると「子どもを望まない」人の割合は27.9%まで低下。 「かつては子どもと仕事のどちらかしか選べなかった時代や、婚活なり合コンなりで収入のある男性と結婚することが最適解とされた時代がありました。自分である程度の収入を得ることで、仕事と子どもの両方を手に入れたいと考える人が増えるのは、とてもいい傾向だと思います。さらに賃金格差による女性の収入の低さが払拭できれば、今までとは違う家族のあり方も生まれるはず」 出典/ロート製薬「妊活白書2023」 取材・原文/国分美由紀 ※BAILA2024年8・9月合併号掲載