なぜ「車椅子ユーザー」の炎上が頻繁に起こるのか。日本と海外で“決定的に違う”こと
海外では気軽に声をかけてくれるが、日本では…
介助する側もされる側も、双方にとってプラスとなる合理的配慮は、夫婦間のやりとりに似ていると廣道さんは言う。 「夫婦間でも、求めてないことをやられても感謝できないけど、やった側はやってあげたのにと腹が立ったりしますよね。でもやって欲しいと言ったことに限って、やってくれてなかったり(笑)。海外だと、挨拶のように『元気? なんか困ってない?』と気軽に声をかけてくれるので、日本でももっと気軽に聞ける雰囲気になるといいですよね。 加えて車椅子ユーザーからしても、事情があって断られた時に、『出来ないことをやれっていうのか?』と感情的にならない努力は必要かなと。海外の例を挙げると、『自分で持ってきた荷物は自分で運んで。これは私の仕事ではない』とはっきり言います。交通機関などでも『乗り降りできるかどうか?』のみ聞かれて、『出来る』と答えるとただ車椅子を持ってきて運んでくれるだけですから」 日本での障害者への配慮は、まるで自分で上着を着れるのに、わざわざ着せてくれるサービスのような手厚いものではならないと思い込んでいる節もあっただろう。 障害があるかないかに関係なく、まずは自分と違う人間だからこそ対話が必要なのだという視点が、合理的配慮に至る必要な一歩といえるのかもしれない。 <取材・文/SALLiA> 【SALLiA】 歌手・音楽家・仏像オタクニスト・ライター。「イデア」でUSEN1位を獲得。初著『生きるのが苦しいなら』(キラジェンヌ株式)は紀伊國屋総合ランキング3位を獲得。日刊ゲンダイ、日刊SPA!などで執筆も行い、自身もタレントとして幅広く活動している
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