なぜ「車椅子ユーザー」の炎上が頻繁に起こるのか。日本と海外で“決定的に違う”こと
「1台40万~50万円」の車椅子をオーダーで作る
筆者自身も“車椅子の人=体が不自由な人”という認識を持っていたが、取材を通じ、出来ることに個体差があることや、乗る車椅子にも違いがあることなど、何も知らなかったことに気づいた。 「どうしても車椅子というと、ご年配の方が使ってる車椅子の感覚が根強いみたいですが、一般的に皆さんが想像する車椅子は、病院などでよく見る介護用の車椅子ではないでしょうか。需要としては介護用の車椅子が多いと思いますが、アクティブに使う人は、電動や手動以外の要素、具体的には幅や高さ、車輪、タイヤの色や、クッション、背もたれや足を置くステップの位置など、一人一人の体にあった自走式の車椅子をオーダーで作ることがほとんどです。大体1台40万~50万円ぐらいですね」 一人一人の体や残存機能に合わせた車椅子だと、ターンも早く、俊敏性があり、1日中乗っても苦にならないという。
「自己開示と対話」こそが求められる
車椅子ユーザーについて知る機会を逸してきた今の日本だが、4月1日から事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化された。合理的配慮のラインは、それぞれの企業に委ねられており、「合理的配慮とは何か?」と頭を抱えている企業もいるだろう。 「合理的配慮というと、言葉が難しくイメージしにくいと思います。とはいっても、相手が求めていることだけすればいいし、それが介助する側にとって厳しければ、お互いの事情を理解して、妥協するポイントを見つければ良いだけだと思うんですよね。飛行機に乗る際も、昔はカウンターで車椅子を搭乗前には預けなくてはならなかったわけですが、今は『どこまで自分で行きたいか?』『どのタイミングでゲートに行きたいか?』などの要望をしっかり聞いた上で、こちらのタイミングに合わせてアイルチェア(※座席で利用できる車椅子)を用意してくれるようになりました。 ただ車椅子ユーザー側もその場所に好んでいくのなら、その場所のルールに従わなければなりません。私が契約しているジムでは、こちらのここまでは出来る、出来ないのラインを伝えた上で、僕を抱えて運んだりしてでも来てほしいと言ってくれました。その結果、互いに気持ちよく利用することができています。まずは自己開示と対話が、合理的配慮の第一歩だと思います」