三上博史、“アイドル”的人気に苦悩した過去「僕の音楽なんてどうでもよいというのが手に取るようにわかって」
「公演が始まってもずっと揺れ動いてて」
ライブであれ、演劇であれ、その形式は飛び越えて、ステージ上から届ける想いは、より研ぎ澄まされているのかもしれない。今年1月に行われた「寺山修司没後40年記念『三上博史 歌劇』」での出来事であらためて感じたことがあるという。 「1月の『歌劇』をやったときに、寺山の膨大な世界をどうやってやるんだ、とすごく悩んで、すごく揺れていたんです。本来は稽古場で消化されるべき問題なんですけど、公演が始まってもずっと揺れ動いてて。 観に来た方が“よかったよ”とかいろいろ言ってくれるんですけど、ずっとどこか揺れてたんです。でも、ある知り合いが観に来てくれたときに、公演後にその人が“舞台を観ながら、この人は信用できるなと思った”と感想をくれて。それは本当にやっててよかったなと思いましたね。ちゃんと伝わったんだ、と思って。それでちょっと楽になりました」 そのときの思いをよみがえらせ、少し言葉を詰まらせながら語ってくれた三上さん。「信用できると思った」という言葉との出会いが一つの「CHANGE」となり、次のステージへと向かわせてくれたのは間違いないようだ。 みかみ・ひろし 東京都出身、神奈川県育ち。1979年、映画『草迷宮』でデビュー。87年の映画『私をスキーに連れてって』や88年のドラマ『君の瞳をタイホする!』(フジテレビ系)などトレンディードラマに出演。近年もドラマW『下町ロケット』、『震える牛』(ともにWOWOW)など主演作品は多数。03年に舞台『青ひげ公の城』に主演。04年には舞台『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の日本初演で主演をつとめ、翌年にも再演が行われるほど好評を博した。 田部井徹
田部井徹