桐生順平

◇２６日　ＳＧ「第７１回ボートレースダービー」５日目（埼玉県・戸田ボート） 　勝ちたい気持ちは誰にも負けない。準優幕開けの１０Ｒ。コンマ０台のスリット攻勢に出た高倉和士、出足強力な関浩哉らライバルを封じ、インから堂々と押し切った地元エースの桐生順平（３８）＝埼玉＝がファイナル一番乗りを決めた。「とにかく、うれしい。ほっとしています」。重圧から解放されて安堵（あんど）の表情を浮かべる。 　前検時は中堅級の２５号機だったが「ペラはまだ芯を食っていないけど、掛かりとグリップがあったので勝てたのかな。伸びも伸び切れば変わらない」。改善点はまだあるが、逆に考えれば伸びしろがあるということ。喜びや悔しさを何度も味わった地元水面で培ったアドバンテージは、他を大きく上回る。 　３月の戸田クラシックで地元ＳＧ初制覇のチャンスをつかんだが、優勝戦は力及ばず４着に敗れた。自分を育ててくれた場所で、最高峰のＳＧを勝つことは選手なら誰もが夢にまで見る憧れ。「こうやって走ることができて人として成長できている感じがする。やっぱり結果がついてくればファンの方が喜んでくれる。それがうれしいことですね」と目尻を下げる。 　優勝戦は赤いカポックとなったが、難コースの戸田はどのコースでもチャンスがある。「もう２度とこういう機会がないかもしれないので、悔いのないように走りたい」。静かに気持ちを落ちつかせ、２０１７年グランプリ以来、４つ目のＳＧタイトルへ照準を合わせる。