「ペロブスカイト」「洋上風力」…再生エネ主力電源化狙う、経済効果は?
洋上風力 計画続々、地方成長に追い風
25年は、洋上風力発電の普及加速にも期待がかかる。25年度中に九電みらいエナジー(福岡市中央区)やJパワーなどのグループが、北九州市で洋上風力発電所の運転を始める。稼働する風車は25基、合計出力は22万キロワットと、国内最大の洋上風力発電所となる。 4月には、三井物産や大阪ガスなどのグループが新潟県の村上市と胎内市で洋上風力発電所を着工する。29年に稼働する風車は38基、合計出力は68万キロワットとなり、北九州の3倍規模だ。 現在、日本の洋上風力の総導入量は26万キロワット。英国の1300万キロワット、中国の3000万キロワットから大きく引き離されている。大規模発電所が稼働、着工すると、日本でも洋上風力の普及に勢いが出そうだ。 また、洋上風力は製造や建設工事による経済への恩恵も大きい。三井物産などは、38基の設置によって経済波及効果6508億円、雇用面で3万人以上の貢献があると試算している。各地で洋上風力発電の建設が計画されており、地方経済にも追い風だ。浅尾慶一郎環境相も「環境を良くすることは経済成長につながる。脱炭素と経済成長は両立し得る」と断言する。
経済効果 化石燃料輸入減、年15兆円
再生エネを主力電源化する経済メリットについて、さまざまな分析がされている。シンクタンクの地球環境戦略研究機関(IGES)が35年度の再生エネ比率を60%として試算したところ、化石燃料の輸入を年15兆円低減できると分析した。再生エネによる発電は化石燃料が不要なためだ。ボイラからヒートポンプへの転換、電気自動車(EV)の普及など「電化」による効果もある。日本は22年度、化石燃料の輸入に33兆円を支払っており、15兆円削減のメリットは大きい。 また、IGESが系統増強や蓄電池導入、水素製造装置といった再生エネ普及に必要な投資額も試算したところ、50年まで年3兆9000億―4兆6000億円だった。再生エネによる化石燃料削減額が設備投資額を上回る。 他にも、内閣府が地域における経済効果を分析している。例えば人口5000人弱の北海道上士幌町が地域内の全電力を再生エネにするには28億円の設備投資が必要だが、実現すると88億円の経済波及効果が生まれる。他の地域でも設備投資の2―4倍の経済効果があるという。 太陽光発電協会も試算している。50年度に現状の5倍以上となる4億キロワットの太陽光発電が導入されると、年6兆円の経済効果と51万人の雇用を誘発するという。太陽光パネルは9割を輸入に頼るため経済メリットが乏しいと指摘されるが、設置工事やメンテナンスは国内企業が担う。また導入量が増えるほど廃棄パネルのリサイクルが発生するため、国内経済に貢献する。