「ペロブスカイト」「洋上風力」…再生エネ主力電源化狙う、経済効果は?
ペロブスカイト 太陽光普及、政府支援が不可欠
2025年は再生可能エネルギーの主力電源化に向けたターニングポイントの年となる。24年末、気候変動政策の要となる温室効果ガス(GHG)排出削減の新しい目標案、さらに再生エネの最大限活用を掲げた第7次エネルギー基本計画案が出そろった。次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」の量産と洋上風力発電の大規模プロジェクトも動き出し、再生エネ主力電源化へのエンジンが起動する。(編集委員・松木喬) 【一覧表】2040年度の電源構成 環境省と経済産業省による有識者の合同会合は24年末、35年度にGHG排出量を13年度比60%削減、40年度に同73%削減する目標案を示した。意見公募を経て正式決定すると、国内の気候変動政策はさらに高い次元に突入する。 新しい目標案が出たが、目前の目標である30年度の13年度比「46%減」達成の重要性は変わらない。22年度までは同22・9%減で進んでおり、46%減の確実な達成とともに、35年度目標にも布石を打つために25年が重要となる。 また、排出量を左右する第7次エネルギー基本計画案では、40年度の電源に占める再生エネ比率として4―5割を設定した。23年度の再生エネ比率は22・9%。さらに引き上げて再生エネを主力電力化するために、ペロブスカイト太陽電池と洋上風力発電が両輪となる。 ペロブスカイト太陽電池は薄くて軽く、シリコン系太陽電池の重さに耐えられない屋根や壁面にも取り付けられる。政府は25年を量産開始の目標としており、積水化学工業が事業化予定だ。東芝やパナソニックホールディングスも開発を進めており、実用化が近い。新興のエネコートテクノロジーズ(京都府久御山町)も、トヨタ自動車系ファンドやINPEX、中国電力などから出資を受けて量産準備を整えている。 政府は40年に、ペロブスカイト太陽電池を原子力発電20基分に相当する2000万キロワット規模に普及させる目標も設定しており、期待が強い。 だが、課題もある。環境・経産省の合同会合の岩船由美子委員(東京大学生産技術研究所教授)は、現状の太陽光発電の導入ペースでは主力電源化は厳しいと指摘。「インセンティブ(優遇策)では導入が限界であり、いずれ設置義務化を検討しないといけない。それくらい難しいと認識しないといけない」と課題を突きつけた。太陽光発電の活用を促すだけでなく、政府による導入支援策が求められる。