解約率わずか3%のサブスクコーヒー「PostCoffee」の下村祐太朗CCOに聞く人気の秘訣
年間売上高は、サービスのローンチ当初と比べると約10倍に成長。前年比20%増で推移している。ECの売上シェアはサブスクが約70%を占めており、サブスクを利用しているお客さまが単品購入も利用しているケースが多い。EC化率は約90%だ。 ■ 継続率アップにつながる施策が成功 ――利用者からの反響はどうか。 下村氏:2018年の開設当初と比べて、サブスクリプションの解約率が大幅に下がった。当初の解約率は7~8%くらいだったが、現在は半分以下の3%に改善している。 当初はお試し購入の人が多いことや、購入した商品が自分の求めていた味わいとは異なり、満足しなかったという理由が解約につながっていた。顧客の好みに基づく提案の精度を高めていったことが、解約率の改善に寄与してきたと思う。 また、ECサイトの入口に来てくれたユーザーのマインドセットも大切。「試しに買う」というよりは、「サブスクでコーヒーを始める」というマインドでユーザーに来てもらえるような導線作りにも力を入れた。 ――顧客の購入履歴や好みに基づく商品提案とは。
下村氏:顧客の購入履歴や好みに基づき、そのデータを顧客ごとの「マイページ」に反映。「マイページ」には、好みの味わいが可視化できるようにコーヒージャーニーが記録されている。コーヒーの好みは12のカテゴリのなかから嗜好を把握することが可能だ。
サイト作りにも工夫を施している。コーヒーへの理解が深まるようなコンテンツを発信しており、コーヒーへの知識を深めたり、サイトに掲出している「コーヒー診断」によって好みに合いそうなコーヒーを提案したりしている。 ――これまでの取り組みを振り返って、自身が注力してきた点を教えてほしい。 下村氏:「PostCoffee」の魅力や特長として推し進めてきたのは、データドリブンなマーケティング、1人ひとりの嗜好に合わせたコーヒーの提案を可能にしている点。「スペシャリティコーヒーのおいしさを広める」という大きな目標に根差している。近年は注文が一気に入ることも増えてきており、「皆が求めているモノを作れている」という満足感がある。 「スペシャルティコーヒー」という言葉はまだあまり知られていない。そこで「サブスクリプション型のコーヒーを利用する」という入口にして継続購入を狙い、手元のコーヒーが足りなくなれば単品購入も利用してもらう――という導線を作っている。今後は、よりスペシャリティコーヒーに関する認知を広げられるようにしていきたい。 ――食品のなかでも特に「香り」「味わい」が重視されるコーヒーにおいて、それらが表現しにくいEC販路に挑戦した理由は。