他球団の担当スカウトが怒られる! ドラフト下位指名でも獲得後に大活躍した「4人の男」
10月28日に行われたドラフト会議では、支配下69名、育成54名と計123名の逸材がその名を呼ばれ、各球団が交渉権を獲得するに至りました。 【動画】最後は三振で締めた!戸郷が史上89人目のノーヒットノーランを達成したシーン 新聞やネットニュースでは、仮契約に胸を躍らせる有望株の様子が報じられています。当然ですが、ドラフト1位選手のスペースは大きく、下位指名…特に育成選手の場合は数行の記事で終わってしまうことも、しばしばです。 しかし、入団してからの競争は横一線。過去には育成も含めた下位指名で入団しながら、日本球界を代表する選手に上り詰めた例も、決して少なくはありません。 ひっそりと入団しながらも、数年後には「他球団の担当エリアのスカウトが『どこを見てたのか!?』と球団上層部に怒られたのではないか」と思われる選手たちです。そんな「下剋上」を果たした男を4人、紹介したいと思います。 【2010年ソフトバンク育成4位・千賀滉大&育成6位・甲斐拓也】 ドラフトにおけるこれ以上のジャパニーズ・ドリームはなかなか存在しないかもしれません。この年、ソフトバンクがいの一番で真っ先に1位指名したのは、早稲田大の斎藤佑樹。4球団競合の末、抽選を外し、外れ1位で指名したのが習志野の強肩捕手・山下斐紹でした。 愛知・蒲郡のエースだった千賀は、ほぼ無名の存在。地元のスポーツ用品店の店主がその将来性に惚れ込み、ソフトバンクのスカウトに情報提供した結果、育成4位の指名になったと伝えられています。 甲斐は大分・楊志館の捕手。3年夏は1回戦で敗退し、進路が定まらない中、甲斐の強肩に惚れ込んだ楊志館の監督がソフトバンクのスカウトに視察をお願いし、その年から3軍制が敷かれるという幸運もあって、育成6位での指名になったのです。その後の二人の活躍については、あえて記すまでもないでしょう。日本を代表するバッテリーとして活躍。千賀はメジャーリーグへと戦いの場を移しています。 【2016年DeNA9位・佐野恵太】 前述の2人とは違い、佐野はスカウト陣が熱視線を注ぐ東京六大学野球リーグ・明治大の出身です。それでも佐野は複数球団が「我先に」と獲得を目指すような存在ではありませんでした。 なぜか。スカウト陣が敬遠する「左打ちの一塁手」だったからです。 「左打ちの一塁手」は、球団内では国際部の領域。つまり、助っ人外国人選手に託すのが「常識」なのです。むしろ、打撃面を買って獲得を目指そうとすれば、「三塁は守れるのか?」「外野はできるのか?」と編成トップから詰められることになります。それでも佐野の将来性を買って果敢に指名したDeNAの勝利と言えるでしょう。 【2018年巨人6位・戸郷翔征】 宮崎の聖心ウルスラ学園では2年夏に甲子園出場。3年夏には宮崎大会の準々決勝で敗れましたが、九州地区のスカウトの間では名を知られた存在でした。 全国区になったのは、夏の甲子園後に行われたBFA U-18アジア選手権大会の野球日本代表との壮行試合(サンマリンスタジアム宮崎)。宮崎県選抜として登板した戸郷は、5回1/3を投げて、9奪三振の快投を演じたのです。 しかし、その独特の投球フォームを見て「ケガのリスクがある」と判断したスカウトもかなりいたとされています。そんな中、巨人は6位で指名。このほど、球団最速での年俸3億円に到達したことが、スポーツメディアでは報じられています。 いかがでしょうか。あらためて分かるのは、ドラフトはゴールではなく、プロ野球人としてのスタートであるということ。今後も下位指名、育成指名からはい上がる選手たちを、応援していきたいものです。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]