会社員もラーメンも…現実を飛び越えて「発射っ!」 ガチャの狂気 〝大人世代に特化〟
広告業界のクリエイティブディレクターとして活躍していた人が定年退職後、ガチャガチャのクリエイティブに携わるようになりました。「発射っ!」シリーズでは「何かから逃げたい、現実を飛び越えたい」という気持ちが表現されています。「発射」しているのは――。ガチャガチャ評論家のおまつさんが取材しました。 【画像】ラーメンが〝発射〟する様子
60歳で定年退職後に起業
2024年も、もうすぐ終わり。今年もガチャガチャ人気は衰え知らずでした。そんな中、私が今年注目したガチャガチャのオリジナルブランドがあります。スタンド・ストーンズが6月に誕生した、大人世代に特化したオリジナルブランド「灰色メロン」(@HaiiroMeron_)です。 この新ブランドを手掛けたのは、広告業界とガチャガチャ業界の枠を越えて挑戦を続ける飯田マサミさんです。 広告分野のクリエイティブディレクターとして、長年活躍してきた飯田さんは、自分のアイデアを自由に形にしたいという思いに突き動かされ、60歳で定年退職。セカンドキャリアとしてgray parkという会社を立ち上げ、ガチャガチャ業界へと足を踏み入れました。飯田さんは広告代理店時代にタカラトミーアーツで展開する、オリジナルのガチャブランド「パンダの穴」を10年間担当しました。その経験も生かしつつ、独立後、スタンド・ストーンズの佐藤涼子さんとタッグを組み、「灰色メロン」を立ち上げたのです。
自分の姿を見て「まだいけるな」と思って
飯田さんがこのプロジェクトを始めたきっかけには、「 クリエイターとして、自分1人で企画を考え、自分でデザインし、一人で完結できる仕組みをやってみたい」という思いがありました。 広告業界では、クライアントの依頼を受けて初めて仕事が始まり ますが、そこには制約も多く、自由度が限られていました。 長年にわたる仕事で培った企画力とマーケティングの知識を、ガチャガチャで活用したいという願いが、灰色メロンという新しいブランドの形になったのです。 さらに、「灰色メロン」の立ち上げにはクリエイターへの想いがあったといいます。 「クリエイターは40代になると、プロデューサーや管理職になり、クリエイターを辞めていく人が多いです。しかし、60歳 、70歳、80歳と年を重ねても、クリエイティブ活動をしている人もいる。60歳の私がクリエイターとして、真剣かつ、真面目にヘンなことをやっていたら、なんだか滑稽じゃないですか。その滑稽さが個性になると思います」 「もし30代後半のクリエイターがクリエイティブで苦しくなったら、そんな私の姿を見て、『あの人がまだやっているなら、まだいけるな』と思ってもらえるかもしれない。そんな、モデルケースになりたいですね」(飯田さん)。