【これで本当にマイナーチェンジ?】新型アストン マーティン・ヴァンテージは見た目も走りも全般改良!
各部の改変よりまとめ方の勝利
各部のチューニングより、クルマ全体のまとめ方の方が勝っているヴァンテージのマイナーチェンジ。それは結果的にアストンらしい上質な走りの部分にも効いている。 ドライビングモードは今回からウェットとインディビジュアルが追加されているが、あとはスポーツ、スポーツプラス、トラックで変わりはない。だが例えトラックモードでビルシュタインの減衰が最高レベルまで高まっても、レースカーのようにバタバタとした硬さにはならない。一定のしなやかさを含みながら、上下動だけが減る感じなのだ。 今回の試乗車に乗り込んだ時はあまりに硬いカーボン筐体のオプションシートが気になっていたのだが、その硬質な感じとクルマ全体の質感にズレがない点も見事だと思った。それと同様にバネ下の重量軽減にも効くカーボンセラミックブレーキ(オプション)のタッチもタウンスピードから山道までほとんど変わらない点も進歩した点といえる。 渋滞の中で新しくなったコクピットをチェックしてみた。10.3インチモニターのインターフェイスに特に目新しい点はなく、整然と並んだ物理スイッチも景観は悪くないが、直感的に扱えるとは言い難い。それでもステアリングスポークの左側のスイッチ群で操るACCは信用できるので、現代的な実用性は担保されていると言っていいだろう。 アストン マーティンは『仕立ての良いスーツを着て激しい戦いを挑むようなクルマ』であり、敢えて新型! と呼びたくなるヴァンテージも全方位的にアストンらしさが高められていた。見た目だけで選んでも問題ない1台であると言っておこう。
吉田拓生(執筆) 神村聖(撮影) 平井大介(編集)