この大学名、正しく読める…? 「難読大学」は、なぜ難しい名前なのか
読み方に迷う大学名
大学名の読み方は案外、難しい。どちらの読み方をすればいいのかわからず、悩んでしまう大学がある。 ●大和大(大阪府吹田市)。大和銀行(現、りそな銀行)、大和証券が頭の隅に残っていると、「だいわ」と読むかもしれないが、「やまと」である。奈良県の新興進学校、西大和学園中学高校の系列校であることを知れば、読み方は忘れないだろう。 ●明星大(東京都日野市)。1964年開学なので60年の歴史がある。「めいせい」だが、都内にはそれよりも古い1924年開学の明星学園(小中学校、高校)があり、こちらは「みょうじょう」である。 当たり前のように発音していたが実は違っていた、そんな大学もある。 ●聖路加国際大(東京都中央区)。「せいろか」ではなく、「せいるか」である。聖書の「ルカによる福音書」に登場する、キリスト教の聖人ルカを由来とする。 ●至学館大(愛知県大府市)は「しがっかん」。中京女子大が共学化して改称。 ●志學館大(鹿児島市)は「しがくかん」。 そして、漢字は異なるが、同じ読み方をする大学名もある。 ●成城大(東京都世田谷区)、星城大(愛知県東海市)。どちらも「せいじょう」と読む。まったく同じ読み方の大学はこのケースのみだ。「せいじょう」といえばほとんどの受験生は100年近い歴史がある成城大(1927年設立の成城学園)を思い浮かべる。2002年開学の星城大はそのハンディを克服するために個性、得意分野を打ち出す必要がある。 長年の思い込みで、読み方の間違いにまったく気付かなかった。そんな大学もある。 日本体育大、日本工業大、日本文理大、日本赤十字北海道看護大、日本赤十字秋田看護大、日本赤十字豊田看護大、日本赤十字広島看護大、日本赤十字九州国際看護大、東日本国際大、西日本工業大。 これらはすべて「にっぽん」と読む。 日本体育大は開学時、「にほん」だったが、1981年に読み方を変更した。その理由について、大学史に興味深い記述がある。 「昭和39年の東京オリンピックの招致は日本のスポーツを飛躍的に発展させ、体育教員養成機関=日体大のスポーツの発展も促した。このオリンピックの後に、『日本』(にほん)体育大学は『日本』(にっぽん)体育大学としてその呼称を改めたことからも知られるように、日体大に及ぼしたオリンピックの影響は大きかった。(略)東京オリンピックで世界に知れ渡った『NIPPON』を採れば、日本体育大学を世界に知らしめるのに好都合であるとする判断が働いたようである」(『学校法人日本体育会百年史』1991年) 64年東京オリンピックではJAPANよりもNIPPONが広く世界に伝えられ、日本体育大はその潮流に乗るために、「にっぽん」と読み方を変更したのだ。かつてオリンピック会場では日本選手応援コールとして「ニッポン」「ニッポン、チャチャチャ」が響きわたった。しかし2021年東京大会、24年パリ大会において「ニッポン」コールはそれほど聞かれなくなった。