海鳥「なぜハリケーンを追いかけるかって? そこにエサがいるからさ」
エサを求め、嵐を追いかける海鳥
デゼルタス・ミズナギドリは、北アフリカ西岸沖にあるポルトガルのブギオ島に巣を構えます。険しい崖に囲まれた台地が、200組弱のつがいにとって唯一の営巣地です。6カ月におよぶ繁殖期の間、エサを求めて時に数週間、12000kmもの距離を飛び回ります。 彼らが探し求める小魚やイカ、甲殻類は、通常水深180mから900mに生息しています。もちろん、海鳥はそんな深さまで潜れません。穏やかな海では捕まえられないエサが海面付近まで浮上してくる絶好の機会を求めて、嵐を追いかけるんです。 ハリケーンやストームの強風は、海洋の上層部をかき混ぜます。デゼルタス・ミズナギドリは、海水と一緒に海面に浮いてきたエサを捕まえます。ハリケーンハンターは、忍耐強い漁師でもありますね。 ストームは、海洋や沿岸地域の生態系に大きな影響を与えます。今回の研究結果によって、破壊的なストームが、ある種にとってはプラスの機会を生み出す可能性を示しています。 しかし、ストームが遠洋の海洋生物にどんな影響を与えているのかは、まだあまり知られていないそうです。ウッズ・ホール海洋研究所のPhilip Richardson氏は研究の意義について以下のように述べています。 今回の研究では、食物連鎖のトップにいる捕食者を通して、ハリケーンが海洋生態系に与える影響に関する新たな視点が得られました。またこの研究は、極端な気象に対する外洋性海鳥のレジリエンスと採餌行動について貴重な洞察を与えています。 エサを追い求めて何日も何千kmもハリケーンを追いかけ、風もエサもつかまえて、無傷のままエサを待つ家族の元に帰っていくデゼルタス・ミズナギドリ。最高のハンターですね。 Source: Ventura et al. 2024 / Current Biology, Hole Oceanographic Institution
Kenji P. Miyajima