「エレクトロタップ」か「スプライス端子」。配線を分岐するならどっち?
電気系アクセサリーの装着やメンテナンスで配線を分岐する際、純正配線を切断すると短くなってしまいます。そこで重宝するのが、配線を切断せず割り込ませることで分岐できる「エレクトロタップ」です。同様に「スプライス端子」を使っても切断せず分岐できます。ここではそれぞれの特徴と使い分けについて紹介します。 【画像】配線分岐の工程をギャラリーで見る(11枚) 文/Webikeプラス 栗田晃
プライヤーで挟むだけで分岐できるエレクトロタップ
USB電源やドライブレコーダーなど、愛車の使い勝手を向上させる電気系アクセサリーを取り付ける際に必要な電源確保。最近では純正ハーネスのギボシ端子やコネクターから電源を分岐する用品もあります。それらを利用すれば、ニッパーや電工ペンチは不要です。 ただ、電源を取りたい場所に都合良く純正端子があるとは限らず、純正配線から直接分岐したい場合も多いもの。 一度配線を切断してギボシ端子を取り付け、そこから分岐する手段もありますが、もっと簡単に分岐したい。そのためにあるのが「エレクトロタップ」です。エレクトロタップ本体には配線を並べる2本の溝があり、その一方にはストッパーが付いています。このストッパー付きの溝に「分岐する配線」をセットし、ストッパーのない側に「純正配線」をセットします。 エレクトロタップの形状にはいくつかのタイプがありますが、どれも分岐する側にはストッパーがあります。これは分岐する配線の芯線を露出させず、ショートを防止するためです。 溝と配線の位置を確認してセットしたら、樹脂カバーをプライヤーで折り曲げます。この際にスリットが切られた金具(接触子)が配線の被覆に食い込み、芯線に接触します。2本並んだ配線の両方に接触子が食い込むことで導通し、新たな回路ができるのです。 被覆を剥いたり電工ペンチでかしめたりすることなく配線を分岐できるエレクトロタップは、間違いなく便利です。ただし、正しく使用するために注意すべき点もあります。
サイズ選びを間違えると接触不良や切断することも
エレクトロタップを使用する際の要注意ポイントは「配線の太さに合ったサイズを選ぶ」ことです。電極となる接触子は配線の被覆に食い込み、裂け目を作りながら芯線と接触しています。 配線の太さに対して接触子のスリット幅が狭いと、被覆だけでなく芯線に食い込んで傷つける可能性があります。反対にスリット幅が広すぎると、接触子が芯線まで届かず導通不良になる場合もあります。そうしたトラブルを避け、さまざまな太さの配線に対応できるよう、接触子のスリットの幅にはバリエーションとサイズがあるのです。 サイズを見分けるカギとなるのが本体の色で、配線の太さでAVS0.5~0.85sq用を赤、AVS1.25~2.0sq用を青としているメーカーが多いようです。ちなみにバイク用配線として一般的なサイズがAVS0.75で、被覆に記載されていることもあるので確認しておくと良いでしょう。 一般的なエレクトロタップは純正配線と分岐配線を同じサイズで使用することを前提としていますが、消費電力が少ないアクセサリーのでは細い配線を使用している場合もあります。このような場面に対応できるよう、自動車用品メーカーのエーモンは異なる配線サイズに対応するエレクトロタップをラインナップしています。 こうした注意点があるものの、プライヤーでパチッと挟むだけで配線が構築できるエレクトロタップが便利なのは間違いありません。