「エレクトロタップ」か「スプライス端子」。配線を分岐するならどっち?
分岐点がかさばらずスマートに仕上がるスプライス端子
エレクトロタップによる分岐は手っ取り早く簡単ですが、後付け感がありありと分かる見た目や分岐部分がかさばるのがちょっと……という声もあります。 そんな場面で重宝するのが「スプライス端子」です。これはギボシ端子のカシメ部分だけを切り出したような形状で、配線の芯線だけをかしめるための配線小物です。 スプライス端子の使用方法は、純正配線の被覆を10mm程度カットして、追加するアクセサリーの配線も同様に10mm程度カットします。そして芯線同士を並べてスプライス端子でかしめれば接続完了となります。 純正配線の被覆を剥くために配線自体を切断すると全長が短くなってしまうので、芯線を傷つけず被覆だけを切除するのが作業上のキーポイントとなります。配線の被覆を剥く専用工具のワイヤーストリッパーの中には、配線の先端だけでなく中間部分の被覆が剥ける製品があり、それを使えば芯線を傷めることなく露出することが可能です。 ただ、端子をかしめるための電工ペンチや、被覆を剥くためのワイヤーストリッパーなど、プライヤー1本で接続できるエレクトロタップよりも必要な工具が増える分、準備や手間が掛かるのは確かです。 しかしスプライス端子には、そうしたマイナス面を上回るメリットがあります。まずはエレクトロタップに比べて分岐点が圧倒的にコンパクトです。これは隙間が狭い場所や配線をスマートに仕上げたい時に大きな魅力となります。 1対1ではなく、複数の配線を分岐できる点もスプライス端子の特長です。パイロットランプのようにプラス側の電源を一斉にランプに流して、二次側のセンサーやスイッチを通過してアースするような場合、複数に分岐できるのが強みになります。 反対に、複数のマイナス線をボディアースする時にも、スプライス端子で複数の配線をまとめた先に丸形端子を付ければ、アースポイントがきれいに仕上がります。 さらに車体配線と分岐配線のサイズが異なる場合でも、エレクトロタップのように接触子のサイズを気にすることなく芯線だけをかしめて結線することができます。