突然のラップに頭揺さぶられた…原作の面白さに拍車をかけたMVPは? ドラマ『無能の鷹』 第3話考察レビュー
今週も迷言連発! 「ITは私のこと苦手みたいです」
人によって働く喜びは違う。そんな当たり前のことを金曜ナイトドラマ『無能の鷹』(テレビ朝日系)は雄弁に示す。 【写真】さとうほなみに思わず爆笑…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『無能の鷹』劇中カット一覧 25日に放送された第3話で主人公として振る舞ったのが鵜飼(さとうほなみ)だった。彼女は《社内CIA》の異名を持ち、出世のために社内の情報を集める。 社内ニートとなっている新入社員・鷹野ツメ子(菜々緒)にもその“取り調べ”は及びはじめ、実のところ能ある鷹が爪を隠しているだけなのではないかとの疑問を持つのだった。 鷹野はIT企業に務めながら「ITは私のこと苦手みたいです」や「パソコンがインターネットをやめました」など今週もネットミームになりそうな迷言を連発しており、無能であることは紛れもない事実だ。 その一方で、ひよわな同期・鶸田(塩野瑛久)とともに開発部の変人エンジニア・鵙尾(土居志央梨)と関わりを持ち始める。 元々は、鵙尾と鵜飼は同期で、高校時代からの親友だったという。新入社員の頃はお互いに下の名前で呼び合うほどの間柄であったが、いつからか犬猿の仲となり、顔を合わせればぎくしゃくしてしまう。 さらに、鵙尾がIT全般を苦手とする鷹野を気に入り、経費精算システムのテストユーザーに依頼したことを咎めたことで、鵜飼と鵙尾の同期仲はますます悪化していく。
「働く意味」は十人十色
鵜飼は居酒屋で同僚に毒を吐いていくうちに、なぜ出世したいのか、なんのために自分が毎日社内の情報を集めてがんばっているのかわかんなくなってしまうのだった。 だが、その答えは同期の鵙尾が知っていた。鵙尾によると、鵜飼はただ「がんばっているのが好き」なのだ。 出世のためでも評価のためでもお金のためでもなく、がんばるという行為そのものを好んでいる。仕事をがんばることで結果的に自分を誇りに思うことができるし、周りからの信頼も得られるという点で、とても健康的な思考だと感じた。 また、鵙尾は、鵜飼によると「自分がサボるための努力が得意」だ。自分が楽をする方法を採るためなら、回り道もできる。 一見相反するような思考が混在しているようだが、鵙尾の考え方に共感する人は多いのではないだろうか。めんどくさがり屋が会社にとって役に立つシステムを作るというのも、きっと物語の中だけでの話ではないはずだ。 このように人によって働く喜び、もっと言えば「働く意味」は様々だ。周りを見渡せば、生きるためだけに働いている人、趣味のためにお金を稼ぐ人、仕事そのものが好きな人など、十人十色の働き方があるのは、この多様性の時代においては当然のこと。 その上で、人に押し付けないことが重要だと『無能の鷹』はドラマを通して教えてくれる。最終的に鵙尾と鵜飼が昔のような仲良しに戻るわけではなく、適切な距離感を理解して、付き合っていくという方法を選んでいたのは納得できる決断だった。