1ヵ月で10万部!恋愛も孤独も老後も「経営でできている」と説く東大初の経営学博士が書いた本の中身
「令和冷笑体」と「パロディ」を駆使して経営の意味を問い直す
《令和時代は、円安とインフレという高度経済成長期型の経済に戻りつつある。「金銭よりも人材の不足が経営に危機をもたらす」という実感も広がっている。経営概念の再転換はまさに今日的課題だ。》(『世界は経営でできている』「おわりに」より) 本来の経営が失われて40年。経営概念の再転換が喫緊の課題だからこそ、岩尾先生は『世界は経営でできている』を世に送り出した。「広く長く読んでもらう」ために、なんと、椎名誠に代表される昭和軽薄体に倣ったという「令和冷笑体」なる文体まで生み出している。 本書は「家庭は経営でできている」「仕事は経営でできている」「老後は経営でできている」などの15章で構成。経営の欠如が人生のあらゆる場面で不幸や悲劇をもたらすことを浮き彫りにした上で、解決法を示していく。 引用してみよう。 《たとえば一週間塩分と糖分を我慢しすぎた結果として反動で無性にラーメンが食べたくなり「味濃いめ、脂多め、野菜少なめ、チャーシュー二枚追加、麺特盛」を注文してしまったりする。(中略) ダイエットからのドカ食いは血糖値と血圧の急上昇をもたらし血管に大きな負担をかける。こうしてボロボロになった血管が、次の病気を引き起こす。(中略) 体調を崩してしまうと、治療費だけではなく元気に働いていたら得られたはずの所得さえも失う。 このあたりから健康に関する経営の失敗は喜劇ではなく悲劇の色が濃くなる。(中略) 健康は経営だ。健康という価値を創造するには健康への障害を取り除かねばならない。》(『世界は経営でできている』「健康は経営でできている」より) 本書は「令和冷笑体エッセイ」に徹して書かれているため、経営書でありながら、シニカルな笑いを含んだ一文にニヤリとしたり「あるある」とうなずいたりしながら、自分の人生に引きつけて読むことができる。 「誰もが人生の経営者であることを伝えるために、文学の力を借りました。データとファクトとロジックを客観的に示すだけでは、読者に経営の概念を再考してもらうことはできません。人の思考を変えるためには、読者の主観に入り込むことのできる文学の手法が必要だったんです」