まぶたが下がる「眼瞼下垂」治療を医師が解説 手術後の合併症のリスクはある?
眼瞼下垂の治療法・種類を教えて 手術しないで治すことはできる? 保険は適用される? 費用や注意点も聞いておきたい
編集部: 眼瞼下垂の治療には、どんなものがありますか? 中林先生: 眼瞼下垂の治療は、主に手術療法が中心となりますが、入院の必要なく日帰りで受けられるクリニックも多いです(医療施設によって異なるので事前に要確認)。 費用面の心配をする方も多いかもしれませんが、眼瞼下垂の治療は、上述のような症状がある場合、保険適用で受けられます。術式などにもよりますが、「挙筋前転法」なら両側で約4万5000円です。 編集部: 手術について、方法などを教えてください。 中林先生: 手術にはいくつか種類ありますが、最もポピュラーなものは先述の挙筋前転法と呼ばれるものです。 このほかには、大きく分けると、「皮膚のたるみを改善する手術」と「眼瞼挙筋のたるみを改善する手術」の2種類があり、それぞれの眼瞼下垂のタイプや重症度によって、手術法が決められます。 編集部: 具体的に教えていただけますか? 中林先生: まず挙筋前転法は、眼瞼挙筋と瞼とが協調して動くように、挙筋腱膜を瞼に縫合する方法です。当院での眼瞼下垂手術の約9割がこの「挙筋前転法」です。 編集部: では「皮膚のたるみを改善する手術」は? 中林先生: 「瞼の皮膚のたるみを改善する手術」は、たるんでいる瞼の皮膚を切除・調整して縫い合わせるのですが、眉下の皮膚を切除する「眉下切開」と、もう少し下の方、より眼球に近い部分の上瞼を切除する「上眼瞼切開法(皮膚切除)」があります。 編集部: 「眼瞼挙筋のたるみを改善する手術」は? 中林先生: 弛緩した眼瞼挙筋を切除して短くしたり、固定したりして瞼を持ち上げます(挙筋短縮法)。 眼瞼挙筋の筋力自体が弱すぎて、短縮しても回復が期待できない場合には、額の筋肉(前頭筋)と瞼を、患者さん自身の組織で繋いで瞼を持ち上げる「筋膜移植法(前頭筋吊り上げ術)」が用いられます。 多くの場合、太ももから「大腿筋膜」をわずかに採取してきて移植します。大腿筋膜の代わりに、ゴアテックスなどの人工物でも代用可能とも言われていますが、全ての医療機関で対応しているわけではないので、受診した医療機関で確認してみてください。