「投手陣は争いが熾烈。みんなの刺激に」巨人・阿部慎之助監督が現役ドラフトで獲得の右腕に先発期待
巨人の阿部慎之助監督(45)が10日、若手先発投手サバイバルのゴングを鳴らした。前日9日の現役ドラフトで日本ハムから田中瑛斗投手(25)を獲得。先発候補の本格派右腕について「ピッチャー陣は争いが熾烈(しれつ)だけど、その中に入ってくれるだけでもね、みんなの刺激になるだろうしね」と活性化を大歓迎し、競争激化によるローテーションの底上げを期待した。チームは優勝旅行先の米ハワイに出発した。 【写真】田中瑛斗「新天地で活躍する姿を見せて恩返ししたいです」 1軍生き残りをかけたサバイバルに、新風が吹き込んだ。阿部監督は9日の現役ドラフトで日本ハムから獲得した本格派右腕・田中瑛に言及。補強ポイントだった先発投手の候補が増えたことで「ピッチャー陣は争いが熾烈だけどね。その中に入ってくれるだけでも、みんなの刺激になるだろうしね」と歓迎した。若手のハイレベルな競争に期待し、優勝旅行先のハワイに出発した。 今季15勝した菅野がメジャー挑戦。その穴をどう埋めるかが大きなポイントになる。12勝の戸郷、10勝の山崎伊、8勝の井上、6勝のグリフィンと4本柱は強力。そこに次ぐ先発陣は激戦が予想される。指揮官が「争いが熾烈」と口にしたように、ブレイクを狙う投手は豊富。赤星、横川、堀田、西舘、又木、平内、伊藤らは全員20代とフレッシュな顔ぶれがそろう。そこに25歳の田中瑛が加入した。田中瑛には割って入ってこい。その他若手には簡単に道を譲るな。指揮官の言葉は、投手全員に対するゲキに他ならない。 150キロ台の力強い速球と多彩な球種を操る田中瑛はプロ通算7年間で1軍では1勝。これから大きく飛躍する素質があると見込んで指名した。阿部監督が「戦力になってくれればうれしい」と言うように、今季セ・リーグトップのチーム防御率2・49をマークした分厚い投手陣の中で、競争を勝ち抜かなければ1軍には定着できない。今季の井上のように突き抜けて台頭できれば、チーム力は大きく上がる。 今季、現役ドラフト組では日本ハム・水谷が躍進。巨人・オコエ、阪神・大竹、中日・細川、DeNA・佐々木ら同制度で移籍して新天地で輝いた選手は多数いる。日本ハム・金子千尋2軍投手コーチが「ストライク先行できる投手。右打者にも左打者にも内角、外角関係なく投げられる」と能力の高さを評価していた田中瑛も、巨人で一気に飛躍する可能性は十分ある。 この日は成田空港発の日本航空チャーター便でハワイに出発。優勝旅行は裏方スタッフ、家族も含めて総勢約250人が参加予定となっている。「選手は裏方さんとか家族へのご褒美っていうね。そこを忘れないで思いっきり楽しんでほしい。優勝したら、こういう素晴らしいことができるんだって、かみしめて」と活力にすることを求めた。来季への戦いはもう始まっている。(片岡 優帆) ◆田中 瑛斗(たなか・えいと)1999年7月13日、大分・中津市生まれ。25歳。小楠小2年で野球を始め、中津中では軟式野球部で主に遊撃手。柳ケ浦では2年秋からエース。2017年ドラフト3位で日本ハム入団。21年オフに育成で再契約。22年7月に支配下に復帰。184センチ、84キロ。右投左打。来季年俸は750万円(推定)。 ◆総勢250人が参加 巨人は優勝旅行先の米ハワイに向け、成田空港発のJALチャーター便で出発した。阿部監督ら首脳陣、選手、スタッフ、家族ら146人が搭乗。現地合流組も含めると、総勢約250人が参加する。搭乗前の出発式ではチームを代表して、大城卓三選手会長があいさつ。「アロハ。本日はこのような盛大なセレモニーを開いていただき、ありがとうございます。選手、家族、思う存分ハワイで楽しんできます」と笑顔で話した。
報知新聞社