NASAのCIO(最高情報責任者)が語る「宇宙ミッションとIT管理」
ウェブ上のプレゼンスを強化
■ウェブ上のプレゼンスを強化 「私たちは数千ものウェブサイトを持っているが、2019年頃から、その全体像を見直し、どこに最も関心が集まっているかに焦点を当てるようにした。数年にわたる努力の結果、より現代的で一般市民向けに特化したウェブのプレゼンスを実現できた。この取り組みを通じて、NASAのメッセージを一般の人々がより理解しやすくした。NASAは、かつてテレビを通じてコンテンツを提供してきたが、昨年から『NASA Plus』というストリーミングプラットフォームを立ち上げて、インターネット接続があれば誰でもNASAのビデオコンテンツや番組にアクセスできるようにした」 ■NASAにおけるAIの取り組み 「NASAは長年にわたり人工知能(AI)を業務に取り入れてきた。1990年代初頭に私がキャリアをスタートした頃、初めての職場の同僚はニューラルネットワークを使ってロボットデバイスの最適な経路を模索していた。アルテミス計画ではAIを月面探索に活用する予定だ。現在、火星に配備した探査車は、地上からの指令の合間にAIを使って自律的にナビゲートしている。このようなミッションに特化したAIは、プロジェクト全体のライフサイクルに組み込まれている。一方、生成AIには少し注意が必要だ。このテクノロジーは、私たちの作業を加速するのに役立つが、最終的な検証ステップが必要だ。NASAは、今後の12~18カ月間で生成AI機能を引き続き試験する予定だが、このテクノロジーが国家のデータを適切に保護しているという確信が必要なため、導入の速度は民間企業よりも遅いかもしれない」 ■アルテミス計画に向けた課題 「NASAは、進化し続ける商業宇宙産業との連携も含め、多くのパートナーと協力し、太陽系内の別の天体に持続可能なプレゼンスを築く方法を模索している。しかし、通信やネットワークの観点からだけでも、多くの課題がある。私たちは、現在知られている課題の解決に取り組むだけでなく、まだ明らかになっていない課題を特定するために、多くのパートナーと連携している。それは月を超えて火星へと探索を続ける上で非常に有益だ。アルテミス計画の最もエキサイティングな点は、この計画が惑星探査のレガシーを受け継ぎ、それを継続させていくものである点だ」
Alex Knapp