【ABC特集】“余命3ヵ月”宣告された男性と家族が望んだ形 我が家で過ごした390日 患者の思い支える訪問診療
橋本さんが望んだことは、“最期の時まで好きなものを食べて、家族と話す”ことでした。 2人で旅行に行くのが、好きだった橋本さん夫婦。この1年、旅行の思い出を振り返るなど、“大切な時間”を過ごすことができました。
寺嶋医師はこの日、橋本さんの呼吸器の酸素量を増やしました。呼吸に必要な横隔膜や、喉の周りの筋肉に衰えが出始めていたからです。 (寺嶋先生)「また来週来ますのでね」 (橋本さん)「・・・」 (妻・滋子さん)「ありがとうございます」
最後の診療から5日後、橋本さんは旅立ちました。 8月初旬― (寺嶋医師)「おつかれさまでした。橋本さん・・・いい写真やね」 できるだけ自然に穏やかに。それが泰二さんの望んだ最期でした。
(妻・滋子さん)「(亡くなったのは)タンの吸引をして楽になったから、リハビリを始めた時でした。『息がしていないですよ』と言われて」 (長女・横川朋子さん)「病気が進行して肺が動かなくなったからと、母も私も説明を聞いて納得できました」 寺嶋医師たちの訪問診療に支えられ、自宅で過ごした390日間。 (妻・滋子さん)「毎週『また来ますね』の言葉に私たちは励まされたと思います。最期の1年と少しが中身の濃い主人と私との時間だったと思います。だからこそ幸せだったと思います」
“最期は住み慣れた家で”。寺嶋医師は、患者と家族の思いに応え続けていきます。 「『先生、最期をこの家でみてや』と言ってもらって。いつか来る最期の日をみんなで落ち着いて対応して。患者本人がしんどい思いをせずにスッと着陸出来て、それを家族が見守る形がとれたとき、一番ホッとする瞬間です」