長時間労働で自殺した教諭遺族、茨城・古河市と和解 賠償金7千万円
2017年に茨城県古河市立中学校の男性教諭(当時47)が自殺したのは長時間労働でうつ病を発症したのが原因だとして、遺族が市に約1億1千万円の損害賠償を求めた訴訟は8日、東京高裁で和解が成立した。市によると、市が遺族に和解金7千万円を支払う内容。 遺族が20年8月に提訴。24年2月の一審・水戸地裁下妻支部判決によると、教諭は13年4月に赴任した市立中学校で生徒指導主事や吹奏楽部の顧問を務めてきたが、時間外の長時間労働などから17年2月にうつ病と診断され、同月に自殺した。時間外労働時間はうつ病発症前の1カ月は178時間で、80時間とされる過労死ラインを大きく超えていた。 一審判決は、長時間の時間外労働でうつ病を発症したとして、自殺との因果関係を認定。「校長は労働時間の軽減に向けた具体的な策を講じたことはない」として安全配慮義務違反を認め、約1億円の支払いを市に命じた。 針谷力市長は会見し、「人命が失われたことを重く受け止める。再発防止に取り組む」と述べた。謝罪や処分について「現時点で考えていない」とした。(床並浩一)
朝日新聞社