ビアホール“解体もらい事故” 賠償に時間でトラブル長期化 建物老朽化で工事急増
5カ月前、隣の建物の解体工事によって老舗ビアホールが破壊される事故がありました。その後を取材すると、賠償に時間がかかり、トラブルが長期化していることが分かりました。 【画像】隣の建物の解体工事によってビアホールが破壊 壁が崩れ落ち青空が見える店内
■ビアホール“解体もらい事故”
ビアホールの夏場の書き入れ時だった去年7月。壁は無残に崩れ落ち、天井の梁(はり)もはね飛ばされました。店内からは、青空が見えます。 4カ月後、隣はすっかり空き地となりましたが、被害を受けた店を訪ねてみると、事故の衝撃で柱には大きな亀裂が入っています。 「ぴるぜん」マネージャー 渡邊佳那子さん 「ここにバンと穴が開いて、(縦)2メートル、(横)4メートルくらいの穴。重機がガンガン入ってくるので、どんどん穴が広がって、最終的にはここ全部穴でした」 店は500人分もの予約のキャンセルに追い込まれ、1000万円の売り上げが消えてなくなりました。 事故を起こしたのは、隣のビルを解体していた業者でしたが、事態はさらに深刻になっていました。隣の解体が終わらなければ、店の復旧工事に入れないのですが…。 渡邊さん 「(事故を起こした)下請け業者が、大きな解体工事の許可を持っていなかった。元請け業者に新しい下請け業者を探してもらって、(隣のビルの)工事が再開したのですが、(業者を)探して再開するまで1カ月半かかった」 500万円以上かかる大規模な解体工事を行う場合、2021年以降は行政の許可が必要になりました。今回の解体工事は「許可」が必要な規模だったのか、解体を発注した建設会社側は取材に対して「事故原因など詳細は回答を控える」とコメントしています。 事故以前の画像を見ると、解体していたビルとビアホールの建物の間に隙間はほとんどありません。専門家は、工事で使用していた重機に疑問を持ちました。 あんしん解体業者認定協会 中野達也理事 「(重機の)先端の重さだけで2トンはある。重さの影響もあって、先端部分が大きく揺れたりする。密接した状態で、あの工法を用いた工事は考えづらい」 さらに、ビアホール側を苦しめたのは資金繰りです。