【買取】歪んだ古びた壺や皿… 高く売れる可能性があるのはなぜですか?
歪みのある焼き物は、質が悪いと思われがちです。確かに、そういった製品の中には粗悪品もあるでしょう。 【写真6枚】伊万里・皿など… 歪み=粗悪ではない理由を要約してみる しかし、そうとは限りません。時代背景などによりゆがみが生じている可能性があります。大掃除などでお皿の整理を頼まれた際などは、意識してみるとよいかもしれません。 今回は、古伊万里と伊万里の話を中心に、壺やお皿に均一性がない理由を紹介します。 ※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
歪んでいるのは製造技術の問題!?
骨董品としての価値が高い品の中には、その時代の製造技術的な問題から歪みが発生している物もあります。例えば、江戸時代以前に造られた作品は、今とは製作現場の環境が大きく異なります。 昔は温度管理が難しく、温度にムラがあるため歪みのある作品が出来上がっていたというわけです。 また、本物職人が手作業で作り上げた作品は、その歪みが逆に唯一無二の芸術として評価されることさえあります。 均一に仕上げられた焼き物より、歪みのある作品のほうが価値のあるケースもあるのです。こうした理由から歪みがある作品でも高く売れる可能性が十分に考えられます。 ただし、前述した通り粗悪品であるがゆえに歪みのある作品もあります。見極めが非常に大切です。
古伊万里と伊万里焼を比較してみる
●古伊万里とは 古伊万里は、16世紀後半から17世紀初頭・室町~江戸時代にかけて現在の長崎県と佐賀県にあたる肥前国の有田で生産されていた磁器の総称のことです。※明治を含む場合もある。 当時、伊万里の港から積み出しされていたことから名付けられたとされます。古伊万里は、中国の明の影響を強く受けており、染付け・青花・赤絵といった技法が用いられています。 ●伊万里とは 伊万里はそれよりも後に生産されました。伊万里は古伊万里よりも精巧な絵柄が特徴的な磁器です。
古伊万里と伊万里の違い
同じ肥前国で生産された磁器ですが、生産されていた時代や用いられていた技法、絵柄が古伊万里と伊万里では違います。 現在では、佐賀県伊万里市内で生産れているものを同じ磁器である有田焼と区別して伊万里焼と呼んでいます。また、現代の伊万里焼と区別するために、江戸時代に作られた品を古伊万里焼と呼ぶケースが多くなっています。 さらに、「古伊万里様式」「柿右衛門様式」「鍋島窯様式」の3つの系譜を、有田焼の三様式ということもあります。 ●古伊万里は厚みがある 古伊万里の中でも初期に作られたものは、釉薬がたっぷりと塗られ厚みがあり、皿の裏側の高台が非常に小さいという特徴があります。 ●古伊万里は水平にすると歪みが見えやすい 温度調整が難しい江戸時代に作られた古伊万里は、現代の作品と比較して歪みが強く見られます。 とくに皿を水平にして見た時に、縁の手前と奥側が歪んで見えるはずです。 もし、縁の前後全てが水平に近い場合は、江戸時代に作られた古伊万里ではない可能性が高いでしょう。 ●古伊万里は青いインクの飛びが見つかりやすい 古伊万里に使用される釉薬は透明度が高く、高温で焼成されることから、青いインクの飛びが発生しやすくなっています。また染料の成分もインク飛びの要因のひとつです。 こうした青いインクの飛びは、古伊万里独特の美しさとして評価されているポイントとなります。